＊＊＊ ページ40
静まり返った縁側で、どくどくと心臓が動く音が響く。目を離したくても、義勇の目湖の様なの蒼さが、彼のうちに潜む男としての熱が、そうさせてはくれない。
震えながらこくり、精一杯頷くと義勇が息を飲んだ。その途端、庭の池に葉っぱがはらりと落ちて波紋をつくる。
震える手をぎゅっと片方の手で握りながら義勇の言葉を待つ。しかし、一向に動く気配も何か口にする気配もない。
表情を伺いたくて、でもなんだか彼の反応が怖くて俯いたまま息を潜めていると。
「──────あの約束、覚えているか」
落ち着いた義勇の声に顔をあげれば、義勇は此方に向き合っていた。相変わらず表情は変わらないもので、彼が私をどう思っているのかわからない。
「覚えてる、覚えてるわ…」
「俺も勿論覚えている。そして…今もその気持ちは変わらない」
少しだけ、声に力が篭った。それまで影でゆらゆらと燃えていた炎が一気に飛び出して燃え盛るような、そんな気配。
義勇はそのまま距離を詰めると、息を掠めそうな距離まで近付いて私の手をゆっくりと両手で包んだ。
「俺の妻となってくれ。
──────お前を1人の女として愛している」
義勇の真摯な視線が重なり、身体が大きく震える。その熱い視線は、子供の頃、私に求婚した義勇と同じであった。
今も昔も、ずっと変わっていない熱烈な愛情。
(変わったものなんて、外見くらい
私の想いも、義勇の想いも──────)
ずっと、今も、変わらないまま
「ずっと前から、義勇ただ一人を愛している。
子供の頃から、もう、ずっと義勇──────貴方だけ」
その想いに、自分の想いを重ねるように。義勇の手をぎゅっと握り返すと、
義勇も微笑みながらそっと手を握り返した──────。
花浜匙：変わらぬ心、途絶えぬ記憶
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 388人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あろま(プロフ) - 謎の桃さん» コメントありがとうございます！好きと言って頂けて嬉しいです！続編の方も是非ごらんください！ (2020年1月5日 17時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
謎の桃 - ぐっ…好きです…（死 (2020年1月3日 11時) (レス) id: 54222cb971 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - あろまさん» 分かりました。大丈夫です。 (2019年11月1日 9時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 零奈さん» リクエストありがとうございます！実弥ですね！実弥らしいお話ですね…！精一杯書きます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 美桜さん» リクエストありがとうございます！煉獄さんのリクエスト嬉しいです！ですがすみません、夢主が柱という設定を普通の一般隊士にしたいです。ご了承ください…！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あろま
| 作成日時：2019年9月25日 17時
