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目を覚ますと、男はまだ眠っていた。


まだ日が昇り始めたとき。ほんの少し顔を出した陽の光を受けて男の顔が浮かび上がる。


人間の姿になり、そうっと、また好奇心で手を伸ばした。途端、ピクリと眉が動いて手を掴まれる。


「…っ!誰だァ…」


低い声に思わず肩を揺らすと、男は私の姿を見て拍子抜けしたらしい。


「なんだァお前」


「お前が怪我をしていたから、助けてやった」


私の言葉に男はハッと、傷を受けていた腹を見た。完全に傷が塞がっているのを見て、男大きく目を見開いてから私を見つめた。





「お前…人間かァ?」





その瞳には"疑い"の色が現れている。鬼殺隊員は人間と鬼とをすぐに見分ける事ができる。それ故、鬼ではないが人でもない私の事を勘繰っているのだろう。


「人間だ、私はAと言う。…時にお前、助けて貰ってその態度はなんだ」


私をじっと見極めるように見つめていた男だったが、なんとか納得したらしく、息を吐いた。



「…ありがとよォ。俺は不死川実弥だ」


「さねみ…、そうか。実弥、よろしく」



実弥はそう言うなりよっ、と立ち上がろうとしたが、腹部に激痛が走ってまた腰を下ろした。


「ってェ…」


「動いては駄目だ。傷は塞がったが完治はしていない。1週間程薬を飲まなくては」


「はァ?…俺はそんなに悠長に療養してる暇はねェんだ」


「…馬鹿者!致命傷なんだぞ!」


突然出した大声には実弥は驚いたらしく、黙り込んだ。




「私が必ず1週間で治してやる。だからここに居るんだ」




黒曜石の様な男の瞳を真っ直ぐに見つめる。すると男は私の強い意志に押されたらしく木に身体を預けた。


「わァったよ。お前を信じる」


諦めたように呟いた実弥に、私は小さく微笑んだ。

***→←紫苑:不死川実弥



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設定タグ:鬼滅の刃 , 鬼滅 , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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あろま(プロフ) - 謎の桃さん» コメントありがとうございます!好きと言って頂けて嬉しいです!続編の方も是非ごらんください! (2020年1月5日 17時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
謎の桃 - ぐっ…好きです…(死 (2020年1月3日 11時) (レス) id: 54222cb971 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - あろまさん» 分かりました。大丈夫です。 (2019年11月1日 9時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 零奈さん» リクエストありがとうございます!実弥ですね!実弥らしいお話ですね…!精一杯書きます! (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - 美桜さん» リクエストありがとうございます!煉獄さんのリクエスト嬉しいです!ですがすみません、夢主が柱という設定を普通の一般隊士にしたいです。ご了承ください…! (2019年10月31日 22時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あろま | 作成日時:2019年9月25日 17時

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