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それからというもの病院から脱出するAを匿うのが俺の日課になった。
その間は人目につかない所で色々なAの話を聞いていた。話の途中で欠伸なんかしようものなら音や気配でバレてムスッとされるのがオチだ。
病室の窓に鳥がやってきたとか。病院食が不味かったとか。看護師さんが飴をくれたとか。
俺にとってはどうでもいい小さな事が、Aの中では大きな特別な事になっていて。
閉ざされた瞼は、きっと目の見える俺たちより色んな物を目にして、感じ取っているんだろう。
子供で、純粋無垢。
俺とは真反対の、対極の位置にある存在。
だからか。そんなAに興味と想いが湧いてきたのは。
人を好きになることなんかないと思っていたのに、Aと出会ってから3ヶ月。
気づけば盲目の少女を愛おしく思うようになっていた。
俺の身体をぺたひたと触る手の温かさも。餅のように柔らかく、笑うと丸くなる頬も。光は閉ざされたにも関わらず、希望と輝きに満ちた瞳も。
─────此奴の全部が、俺の心を惹き付けて止まなかった。
『次のニュースです。昨夜、敵連合が〇〇ビルに襲撃をし──────』
「だびくん、怖いね。敵連合だって」
さっきまではしゃいでいた表情が一瞬にして不安の色を称える。
目の前の街頭ビジョンには能面のようなニュースキャスターと襲撃後の悲惨な建物が映っている。
──────自分がその敵連合のうちの1人といるなんて知ったら、お前はどんな反応するんだろうな？
畏怖か、軽蔑か、それとも──────。
「だびくん？」
ぴたり、いつの間にか呼吸さえ止めていた俺の顔に触れるAの手。
街頭ビジョンから目を離して見あげれば、Aが心配そうに顔を覗きこんでいた。
「…どうしたの？調子悪いの？」
俺の存在を確かめるように、撫でるように触れるその手。
俺は堪らずその手をぎゅっと掴んでいた。
「えっ、荼毘くん…？」
懸念の表情が一気にほんのり赤く染って恥じらう。
「…お前の手はあったけぇな」
「…だびくんの手は熱いね」
そうだ。この手から炎が出て、人々を苦しめていく。そんな悪魔の手。
「寒い時はカイロになるね」
そんな悪魔の手を、ぎゅっと包み込んでくれる。笑ってしまえるようなことを言ってくれる。
──────もう少しだけ、この時間を。
俺はそう祈りながら握る力を強くした。
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あろま(プロフ) - オーバーさん» こちらこそリクエストありがとうございました！お気に召して頂けて光栄です！期待させてしまってすみませんでした…。楽しみにしてらっしゃいましたよね…。なんて優しいんですか…！感謝感激です！頑張ります！ (2019年9月25日 23時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - リクありがとうございます！とても良かったです(´ω`*) ホークスの新作の件は残念でしたが、あろまさんの書く小説が大好きなので、大丈夫です(`ω´)b 執筆お疲れ様でした！！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» お久しぶりです、オーバーさん！弔くんのお話好きですか…！？嬉しい限りです！鬼滅の方も読んでくださって感激です…！これからも頑張ります！ (2019年9月21日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - お久しぶりです、あろまさん！ 死柄木くんのお話好きです(´艸`) 鬼滅も楽しく読んでます(´ω`*) 更新ファイトです！！ (2019年9月21日 21時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - オーバーさん» リクエストありがとうございます！そうなんです！ついにホークスの新作を書きます！ずっと書きたかったお話なので自分でも楽しみです(笑)アネモネいつか書こうと思っていたので嬉しいです！了解です、荼毘ですね！いつもコメント感謝です！全力で書きます！ (2019年8月26日 11時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年7月1日 22時
