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(誰か、誰か力になる人は──────)
考え抜いた結果、思いついたのは今度のビルボードチャートで正式にNO.1ヒーローの座に就くエンデヴァーしかいなかった。
ずっと前から密かに憧れていた人。その人を騙して利用するのだと思うと胸が痛い。
「だけど、俺は──────」
自分が穢れるのはいい。だけど守りたい人達を傷つける訳にはいかない。
ふと、彼女の微笑みが頭に浮かぶ。
──────絶対に傷付けはしない。
俺は静かな決意をして、ぐっと拳を握りしめた──────
俺はホークス。速すぎる男。
今もこうやって彼女のマンションへと向かう途中、下からキャーキャーと黄色い悲鳴と共に応援の言葉を貰うけど、そんなのは要らない。
名声も名誉も要らない。ただ早く、誰よりも早く、人々を救うヒーローになりたかった。
今欲しいのは、確かな温度。確かな愛情。
確かな──────彼女の優しい全て。
いつも俺の帰りも健気にご飯を作って待ってて、くだらない話も、仕事の愚痴も、相槌を打ちながら聞いてくれるA。
キスをすると答えてくれて、ぎゅうっと抱き締め返してくれるA。
こんな俺に、いつも「好き、好き」と言って、本当の名前を呼んでくれるA。
でも、一緒にいるときふと、何か言いたげな表情を俺に向けることがある。
何回も、知ってるくせに無視をしてきた。彼女の言いたいことに気づいているのに、知らないふりをする。
──────恋は呪いだ。
想い人を傷付けてしまうのだから。
そんなに愛してくれるAにまだ「好き」のひと言も堂々と言えない俺は心底最低な奴だ。
手は早いくせに、大事な所は遅い、救いようのないやつ。
今日もまた俺は、無垢で従順な彼女に想いをぶつけるのだろうか。
そんなことをひたすら考えているうちに、彼女のマンションに辿り着いた。
広げていた羽を閉じて、静かにベランダに舞い降りる。
なんだかんだ言いつつ毎回窓を空けておいてくれる優しい彼女に微笑みが盛れる。
ふぅ、と荒くなった息を整えてガラリと窓を開ける──────
すると、料理をしていた彼女が振り返った。
『──────愛しとうよ』
未だに彼女に言えない呪いの言葉を飲み込んで、今日も俺は飄々とした笑みを浮かべた。
黒百合：呪い、恋
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あろま(プロフ) - あいねさん» コメント気づきませんでした…！コメント感謝です！何回も読み返して下さるなんて…！この作品も読んで下さって嬉しいです！いつも感謝感激です！ (2019年12月29日 7時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
あいね - あろまさんのヒロアカ短編集はどれも最高なんですね、「求めて、求められて」シリーズはもう何回も読み返して全てを読みきった感で居たら………私の馬鹿！！←何でこの作品を見つけてなかったんだ……？見つけた時驚きで数�冂靴佑泙靴拭�← (2019年12月16日 22時) (レス) id: 59d3daabe9 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きりんの木さん» コメントありがとうございます！轟くんはヤンデレになるとあんな感じになると思うんですよね…。応援のお言葉も嬉しいです！これからも頑張ります！ (2019年9月2日 17時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
きりんの木(プロフ) - コメント読みました、凄く嬉しかったです。あろまさんもゾッとしながら書いてたんですね（笑）そうですか…終わっちゃうんですね…寂しいです…。再開の日を心待ちにしています。これからも頑張ってください。かげながら応援しています！ (2019年9月1日 16時) (レス) id: 8f4326a47e (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きりんの木さん» 沢山お褒め頂き感謝です！リクエスト大変嬉しいのですが、実はこのシリーズを一旦終わりにしようと考えておりまして…。話数が残り少ないので書くのが難しいと思われます…。ごめんなさい…。もしまた再開した時であれば受け付けられます！ご了承くださいませ…！ (2019年9月1日 8時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2019年6月9日 23時
