♣︎ ページ24
.トレイside
俺はどうにも、昔から巻き込まれやすい体質らしい。それを自覚しているから、相手とは適度な距離を保ちむやみに首を突っ込まないように心がけてきた。
でも、彼女を放っておくことは出来なかった。彼女は、Aは言わば台風の目だ。
周りからの期待や嫉妬や偏見なんかをぐるぐるかき混ぜながら発達する台風の中心。
その中心にいたAの手を、俺はいつの間にかとっていた。
何故だ、なんて。そんなの俺にも分からないよ。
□
初めてAと出会ったのは、彼女がナイトレイブンカレッジへやってきてから数日たった辺りだと思う。その頃にはもう彼女の噂はほぼ全生徒へ知れ渡っていて、その姿を見れば｢クロウリー先生の娘だ。｣と直ぐに分かる。
俺も例に漏れず、一目見て直ぐに気が付いた。
グレート·セブンが並ぶメインストリート。
前方から小走りにやってきた彼女と俺は、そのまま普通にすれ違うはずだった。
ただ、状況が悪かった。彼女は火の粉を浴びせられるという嫌がらせを受けていた。
初級魔法といえど魔法は魔法だし、火は火だ。自分が痛い目に遭わなきゃ危ないことが分からないんだろうな、とその光景を横目で見る。一瞬Aと目があう。逸らそうとすると、先に彼女の瞳が気まずそうに視線から外れる。
自分が痛い目に遭わなきゃ危ないことが分からない。今思うと、危ないと分かっていながら助けようとしなかった俺への盛大なブーメランだった。
魔法を振り払いながら歩む速度を早めるだけで、大したリアクションがなかったAが不満だったのだろうか。
俺とAがすれ違った直後、さっきよりも大きい最早火の粉とは呼べないそれは操作ミスで俺の方へと飛んできた。
…俺の体質は未だ健在か。防御魔法の唱え方は、えっと、おかしいな。
これといった得意科目はないけれど、苦手科目もないはず。防御魔法だって苦手なわけじゃない。あぁ、でも人って慌てると咄嗟に行動できないんだな。
怪我なんてしたらリドルに怒られそうだ。そんな思考を巡らせていると目の前に何か飛び出してきた。
｢…ッあっっつ！！馬鹿じゃないの！？｣
｢え…、｣
いじめられる彼女を見ても、｢ここで助けたところで俺が損をするだけだ。｣なんて考えていた。無視をしようとした。自分への損得を尊重して。
でもAは。自分以外に魔法が当たるとわかった瞬間、すぐに俺を庇った。
盾にしたせいで引火して炎を上げたノートを少しだけ乱暴な言葉を発しながら地面へ投げ捨てたAと、今度はしっかりと目が合った。
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あ お 子。(プロフ) - ヲヲクさん» ありがとうございます！ゆっくりになってしまいますが、面白いと言っていただけるようこれからも頑張ります…！続編もよろしくお願いします！ (2020年8月2日 9時) (
レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
ヲヲク(プロフ) - 凄く面白いです！頑張ってください！ (2020年8月1日 21時) (レス) id: 9efd66ac59 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - 鹿野ユズナさん» 本当ですね。すぐに修正しておきます。ご指摘ありがとうございました。 (2020年7月18日 5時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - 最後の自己紹介、ディアになってますよ。クロウリーですよね？ (2020年7月18日 2時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
あ お 子。(プロフ) - うささん» ありがとうございます！更新速度上げられるように頑張ります…！！ (2020年7月4日 19時) (レス) id: e194d3533b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお子。 | 作成日時：2020年3月31日 22時
