廻るオルゴール ページ49
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あの大きな屋敷には、たった3人しかいない。
あれから数年が経っても、大切なものは欠けたまま。
かつてはあんなに幸せで満ち溢れ、目に映るもの全てが鮮やかに見えていたというのに。
目を開くと、薄暗くて色のない日常がそこにある。
寂しい屋敷には何十個というオルゴールがある。
私たちの母＿＿＿＿イザベラ・アークライトが作ったオルゴールだ。
それは私達の愛情と幸せの象徴。
……今はもう過去のものでしかないけれど。
そのオルゴールが、この家族たちの時を止めている。
｢どうして、こんなことをした？答えろ｣
父さんが怒っている。強く責めるような口調だけど、なんだかとても悲しそう。
｢………嫌だ｣
それは、今より若々しくて子供らしい、エリヤの声。
父さんに怒られても、頑なに言うことを聞かない。
エリヤの足元に覗くのは＿＿＿＿原型を留めないほどに壊れたオルゴール。
確かこれは、3年ほど前の夏。
屋敷にあったオルゴールを、エリヤがその手で、故意に壊してしまったのだ。
もちろん、魔法を使えば壊れたものなどなんでも直すことは出来る。
でもあれは、母さんが手作りしたオルゴール。
父さんが魔法をかけると、バレリーナの人形が妖精のように踊り出したあのオルゴール。
それは私たち家族にとって何にも変えられない、大切なものだった。
エリヤは何も答えなかった。
ただ、怒りと悲しみが複雑に混じった表情で父さんを見ているだけだった。
私はきっと、その様子をドアの傍で見ている。
2人の足元にあるバラバラに砕け散ったオルゴールが目に入って、涙が出そうになる。
私も父さんも、エリヤが何故そんなことをしたのかわからなかった。
きっと私たちの絆も、あのオルゴールとと共に砕け散ったのだろう。
でも、オルゴールと違って直すことは出来ない。
私たちが築き切れなかった関係は壊れたまま、今も歪に廻っている。
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はじめ(プロフ) - マニ。さん» 応援ありがとうございます！あまり頻繁にはお返事できないかもしれませんが、それでもよろしければよろしくお願いします！ (1月31日 6時) (
レス) id: ee6ba55d5e (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - はじめさん» ✉️。こんにちは！とても面白いです！もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます！💖 (1月21日 16時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ(プロフ) - ケロッとさん» 応援ありがとうございます!!嬉しいです……!! (2019年11月22日 22時) (レス) id: ee6ba55d5e (このIDを非表示/違反報告)
ケロッと - ハリポタ作品をみていたらこんなに素晴らしい作品を見つけてしまい手が止まりませんでした！本当に神作品です！頑張りすぎずに更新頑張ってください！応援してます (2019年11月22日 19時) (レス) id: 35751de350 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ(プロフ) - さくらんぼ＆チェリー@サブさん» そう言っていただけて感激です…! 力の限り頑張ります!! (2019年11月19日 7時) (レス) id: ee6ba55d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はじめ | 作成日時：2019年11月10日 16時
