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47.あの日見た夢 ページ48

Aは馬を走らせ森を抜ける

その先には花が咲き乱れた花畑と


海があった


『…ありがとうもう行っていいよ』


Aは馬に口吻をすると花畑に足を付く

蝶がそばを舞う

花畑を越え砂浜を歩き

裸足になると海に足を入れる


『波が太陽に照らされて宝石みたいね』


海水をすくって口に運ぶ


『本当に塩水だ』


Aは少し立ち尽くすと


『貴方はこの景色が見たかったの?

でも、どうして私しかいないの…』


と呟いた

勿論返事はない

波打ち際に座る

Aはクルーウェルに貰った種を飲み込む

暫くしてむせるような感覚に咳き込む口から

水色の花が溢れるそれを髪に飾ると

Aはもう1つ、あの日見つけた瓶を取り出す


『私はこの景色を貴方と見たい

夢でも何でも良いこのまま死んだって

もう1度どんな形でも会いたい…』


瓶に詰まったコルクを抜く


『死ぬ訳じゃないんだから、良いよね

私だってそろそろ寝ても良い時間でしょ?』


多少の恐怖心はあるのか手が震え頬を涙が伝う

それでも瓶を口に付ける

中身を飲み終わる前に

Aの意識は途切れた



その日から彼女は夢を見た

巨人が絶滅した世界で仲間と笑って暮らす夢だった



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
セベク目線


Aが発見されたのは日没後月が光る頃だった


封筒と落ちていた瓶に残っていた液体で

Aが何をしたかは嫌でもわかった

強力な眠り薬…実際は体を仮死状態にする薬

何処でこんなものを


小さな本には森を抜けて海に行くための地図が書かれていた


部屋がやたら綺麗でおかしいと思ったんだ…

机の上には日記帳だけが置かれていた

最後のページには拙い文字で

“最後まで迷惑をかけてごめんなさい”

と書かれていた


「すまん…すまんな、A…」


リリア様はAの手を握りながら泣いておられる

ごめんと思うならこんな馬鹿な真似するな…


その上この眠りを解くには真実の愛の口吻が必要だと?

全くふざけた話じゃないか

いや、だからこそ飲んだのか…誰にも起こされないと分かって


髪に刺さっていた花はAの記憶を吸い取ったもので

解析を早速したようだが


「クロウリー、僕たちには見せてくれないのか?」


若様が尋ねられても青い顔をして口をつぐむ









暫くして学園長は許可を出した

49.えぴろーぐ→←46.完結



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甘酒(プロフ) - 玲さん» ありがとうございます!嬉しいです…… (2021年3月10日 10時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マジすか!?待ってます!! (2021年3月9日 21時) (レス) id: f2b6f80710 (このIDを非表示/違反報告)
甘酒(プロフ) - 玲さん» こちらこそありがとうございました!多分続き書きます…? (2021年3月9日 21時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 終わってしまったァァァ!!ありがとうございました! (2021年3月9日 20時) (レス) id: f2b6f80710 (このIDを非表示/違反報告)
甘酒(プロフ) - いえ!(≧▽≦) (2021年3月6日 19時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘酒 | 作者ホームページ:nhatev-hdfs sake1  
作成日時:2021年2月23日 22時

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