【d!】おいしくたべれる賞味期限。【zm】

▽ ページ34

＊


『おかしいっぱい！』

zm「せやなぁ。お菓子いっぱいや。」


すごく嬉しそうに袋いっぱいに入ったお菓子を持って

笑うAの頭を片手で撫でる

すると、Aはグリグリと嬉しそうに俺の肩に顔を埋めた

...かわええなぁ。ほんま。


zm「どっかで食べよか。そのお菓子」

『たべていいの！？』

zm「おん。あ、でも、まだあかんで？ちゃんとベンチに座ってから食べよな」

『うんっ！』


元気よく返事を返したAを抱っこし直して

近くにあるベンチまで歩いてく

ここら辺やったら野生動物も居らへんし、

お菓子食べとっても取られたりはせんやろうしな。

家に帰るまでダメって言うても良かったけど、それは可愛そすぎるからな

...まぁ、本人の親を喰い殺すよりも可哀想なことってないけどな


zm「ん、ベンチついたで。」

『おかし！おかしたべていいの？！』

zm「ええで」


はしゃぎ回るAをベンチに座らせて

俺も隣に座る

...お菓子ってこんなに美味しくなさそうなんやな

ニンゲンを喰べ始めてから変わってしまった見方に一瞬自分でゾッとする

でも、しゃーないやんな、

元々はニンゲンが悪いんやから

俺はなんも悪く___


『うん！ぞむはなんにも悪くないよ！』


ゾワッ

鳥肌が立つのがわかる

ちゃう、悪いんや、

悪いことをしとるんや

しとるんやけど、やけど

悪くないと思い込んでまう、

なんで、俺


『ゾム』


Aの方から俺を呼ぶ声が聞こえて恐る恐るそっちを向く


『何にも悪くないよ。ゾムは何にも悪いことしてないの。ゾムがすることは全部正しくて全部いい事なの。ね？』

zm「っ！」


こっちを見ながら喋るナニカに目を見開く

怖い

なんや、なんで、

なにが、

怖い、怖い怖い怖い

得体の知れないナニカが俺を肯定しとる

俺を正当化しとる

悪い事、やのに

なんで、

ニンゲンを喰べるのは悪いことや、悪いこと

でも、それでも、

目の前のナニカは肯定しとるで、？

じゃあ、ほんまにニンゲンを喰べるのは悪いことなんか、？

肯定しとるナニカがおるのに...


『ぞむ、？どしたの、？ぞむ...？』

zm「っは...は、」


Aの困惑したような声が聞こえて

目の前を見る

そこには、いつも通りのAの姿があった

...さっきの、なんやったんや、？

何かを見た気がするがそれがなんだったのか

どんな形だったのか、思い出せへん

俺は、さっき、なにを見とったんや、？

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