【d!】おいしくたべれる賞味期限。【zm】

喰わぬ狼 ページ16

＊


zm「とりあえずこんなもんか」


久々に作った手料理の味見をして頷く

これなら人に出しても恥ずかしくない味しとるな

ガチャ。

扉の開く音がして誰かがこっちにくる

多分エミさん。


zm「早起きやなぁ、エミさん」

em「ゾムさんこそ」


優しく笑いながら後ろの椅子を引いて座るエミさんをチラッとみる

...そういや、エミさん毎朝コーヒー飲む言うとったな


zm「...コーヒー淹れよか？」

em「淹れてくれるんですか？」

zm「おん」

em「じゃあ、お願いします」


また優しい笑い声が聞こえてそう返される

エミさんの笑い声落ち着くな...

そんなことを思いながらコーヒーを淹れる


em「こんな朝早くに何してたんですか？」

zm「ん？あ、ご飯作っとった。」

em「おや...自炊、できはったんですね」

zm「そりゃ、ニンゲン喰い始める前はきちんとしとったしな...まぁ、昔みたいに決っして上手い料理とは言えへんけど」


あの頃は兄さんにめっちゃご飯の作り方教わったなぁ

...ま、今になればそんなことどうでもよくなったわけやけど


em「ねぇ、ゾムさん」

zm「ん？」

em「あの子...Aさんは、賞味期限になったらほんまに食べるんですか？」

zm「...」


ほんまに食べるんか

ほんまに、食べるんか、？

俺が？

俺が、Aを？

ほ ん ま に ？


待てや、よく考えろ俺。

待て、

よく、よく考えろ

落ち着け


『ぞむ！』

zm「っは...」


偉く鮮明に聞こえた声を頼りに思考を元に戻す

な、なにを思っとるんや俺、しゃんとしろ。


em「おや...おはようございます。Aさん」

『え、あ、...う、ぁ、えっと、お、おはようございます、！』


挨拶をしながらダッシュで俺の後ろに来たAを拾い上げて抱っこする

なんでこんなにダッシュしてきたんやろ


『...ぞむ、にがいにおいする、』

zm「ん、あ？...ああ！コーヒーな！...はい、エミさん」

em「ありがとうございます」


また優しく微笑んでカップを受け取ったエミさんをみて

俺は少しだけばれへんように距離を取る

エミさんってたまにぞっとするような質問して来るんよな

今もそうやったし...

...ん？そういや、Aって心ん中が見えるんよな？

んなら、エミさんの挨拶にキョドッて返事して、こっちに走ってきたってことは、

Aにとってなんか怖いことでも考えとったんやろか...

あとで聞くか

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