28.そして、夏。 ページ28
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結局。
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「櫻井さん、出来ました」
翔「おっ。さすがA。今日も早いね、ありがとう。引き続きよろしく」
「はい」
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悩んで、苦しんで、考えて。
考えて、迷って、止まって。
進んで、困って、考えて。
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そんなことをずっと繰り返しても答えは全然出てくれなくて
二宮さんの言葉の意味が汲み取れないまま
気がつけば月日は経ち
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和也「栗巻」
「…、はい」
和也「この会社の契約更新したか確認しといて」
「…わかりました」
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二宮さんは私のことを栗きんとんと呼ばなくなった。
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それどころか。
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雅紀「あっつー…。もう夏ですか」
智「あっちぇな。ガリガリくん食いてぇなぁ」
雅紀「あ！大野さん何味派ですか？俺は梨味です！」
智「スタンダードにソーダ」
雅紀「っぽい！あと青春のなんちゃら味みたいなのも俺好きです！」
智「なに、今そんなんあんの？」
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和也「まっちゃーん」
松下「はい！」
和也「この資料まとめといて」
松下「わかりました！」
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いつの間にか、松下さんの教育係が二宮さんに変わっていた。
よく考えるとそれは当たり前のことであり。
元々松下さんの教育係は櫻井さんだったんだから、櫻井さんが私の教育係になるんだったら松下さんは二宮さんの下で働くことになるのは
必然的であり。
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智「いやー、今日も可愛いよね、松下ちゃん」
雅紀「俺はああいう子は無理です。もう少し元気な子がいいなぁ」
智「え、だめ？清楚な感じの、いかにも！な子」
雅紀「ちょっと女の子女の子すぎて苦手ですね」
智「俺超好き」
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松下さんはふわふわしてて、私から見てもザ！な女の子で。
見るからに二宮さんに好意を寄せてる。
だって教育係が二宮さんに変わった瞬間から、髪型とかメイクとか。毎日張り切ってる。女から見たらそんなのすぐわかる。
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ーーー…それと。
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和也「ん。よくできてるね。」
松下「ありがとうございます！」
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松下さんが二宮さんに怒られている姿を
私は一度として見たことがない。
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