25.ジャマモノ ページ25
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オフィスに戻ると、既にそこは稼働していて
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「…あ」
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ブルーライト用のメガネをかけて、パソコンとひたすら向き合って素早いタイピングをしている
二宮さんが、いた。
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和也「御社には…え？あぁ…。いや、そうですね。またまた(笑)。はい、迅速に対応させて頂きます。はい、はい、また。…えぇ、是非。はい、失礼致します」
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急なコールにもその名の通り、迅速に対応していて思わず突っ立ったまま見とれてしまう。
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そうだった。最近ずっと二宮さんがお仕事をしている姿を見ていなかった。
ずっと私の教育をしてくれていたから。自分の仕事は私の前では全然していなかったから…。
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ーーーー…いつもだったら。
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和也『だーかーらー。これで何回目？ここはこう。』
『すみません…』
和也『ちなみに今ので4回目ね』
『かっ数えてたんですか！』
和也『5回目でペナルティだから。』
『聞いてません！』
和也『うん。だって俺今初めて言ったもん』
『なっ…』
和也『ペナルティはそうだな…。自腹切ってコンビニに売ってるスタバのカフェラテでも買ってもらう？』
『やっ、やります！』
和也『はい、よろしい』
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私の席にコロコロと自分の椅子を持ってきて、隣に座ってあーでもないこーでもないって教えてくれていた。
ぼんやりと空いている自分の席を見つめて
そんないつかの自分の幻影を映し出す。
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でも今は、ただの誰も座っていないデスクでしかない。
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もわ…と胸の裏に綿飴のような陰りが見え始めた瞬間。
とん、と目の前に物理的な影ができて。
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え…と視線をデスクから目の前の影を作った張本人を見上げる。
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和也「邪魔」
「…え、あ、二宮さん。おはようございます」
和也「…邪魔」
「…え」
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目も合わせない。怠そうに私の横を通り過ぎる。
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…やっぱり、何かが違う。
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「…」
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急いで自分のデスクに櫻井さんから受け継いだ資料を丁寧に置いて
踵を返し
さっきオフィスを出て行ったであろう、二宮さんの後を追った。
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