01.メロンパン（ホイップなし）と缶コーヒー（ブラック） ページ1
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狼って現実にいるんだって、初めて知った。
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トントントン、と淡々に刻まれるリズム。その原因は目の前にいる人の貧乏揺すり。
タンタンタン、と規則的に鳴るリズム。その原因は目の前にいる人が握ってるボールペン。
どくどくどく、と私を急かすリズム。その原因は目の前にいる人。
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ごぉー。
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よーーーん。
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さぁーん。
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にぃー。
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いーーーーち。
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ぜーーーーろ。
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ピピピピピピピピ！
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私のデスクの上に置かれた黒の手帳型のケースに顔を潜めていたスマホのタイマーが鳴る音。
そのタイマーが消された音がして
ことん、とスマホが置かれる音がしたら私は目を瞑る。
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来る。
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和也「ふざけんな」
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あぁ…、ほら。
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和也「時間内に資料作成してみろっつったよな、俺。言ったよな？な？」
「仰いました…」
和也「ね、言ったよね。だって俺言ったもん。で、時間内に出来なかったら？」
「…二宮さんのお昼をコンビニで買って来る」
和也「ハイいってらっしゃぁーい」
「うっ、うわーーー！」
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GO！のサインが出て、千円札を握らされ私は若干の涙目でオフィスを駆け抜けた。
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「うっ、うっ」
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エレベーターで下まで降りて、ビル内にあるコンビニでメロンパン(ホイップなし)と缶コーヒー(ブラック)を買って
また走って、エレベーターで上まで上ってオフィスに向かって
はぁー、はぁーと息を切らして二宮さんの元へと向かうと
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和也「ありがとう。野村さん」
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隣の部署の同期の女の子に、ニッコリと微笑んで甘ったるい表情を浮かべては
野村さんがふにゃふにゃになったのを確認してカタカタとパソコンを操作してる。
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「くっそ……あの鬼……」
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ぼそっと呟いて、ゆっくりと二宮さんに近づくとバチリ。と目が合う。
それから彼の目が細くなって、フッと片方の口角をあげて嘲笑われる。
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和也「5分56秒。新記録おめでとう」
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もう一度言う。
この鬼め！
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