王子様達の婚約者【2j3j】

12.新しい生活 ページ13

貴方side





お母さんが放った一言に動揺が隠せない






「……え、お母さん？何を言ってるの？」






震えそうな声を宥めながらがら母にそう尋ねた






母はきょとん、とした顔で私を見つめた後に






「だって、王子様達と正式に婚約でしょ！？！？






もー、なんで隠しとったの？？母さん達嬉しくてねぇ」







正式に……婚約？？？？？






開いた口が塞がらなくなる






「なかなかAと会えんことなるけぇ、






少しでもいいから顔見せてあげてってカナエ様が家に来てねぇ






まー、優しくていいわねぇ」







優しい？？私の意志なんて聞いてないのに…






「お母さん！私はｯｯｯ!」






お母さんに昨日あった事を全部話して、一緒に帰ろう






なのに…………






「お義母様、お義父様、そろそろ暗くなってしまいます






危険ですし、街に戻りましょうか






もちろん、送りますよ」






横にいたカケル様が母に向かってそう伝えた






「ちょっと！カケルさ……」






抗議の声をあげようとすると、






カケル様が指を立てて静かにするように促す






私は反射で黙ってしまった






カケル様は母の手をとり馬車に向かう






お母さんはこっちを向き手をヒラヒラとふる






呆気にとられた私はその場にとどまってしまった






軽快な馬の音が遠くから聞こえる






「(私………、これからどうしたらいいのかな…)」






呆然としながら沈んでいく太陽を眺めていた






「Aさん、冷えてしまいますし、自室に戻りましょう」






名前を呼ばれて後ろを振り返る






そこにはハヤト様が立っていた






「………………」






生憎、私は今たいへん不機嫌なんだ






そう思いながら怒りの矛先をハヤト様にぶつける様に黙って見つめ続けた






「荒々しい手を使ったことに関しては申し訳ないと思っていますよ






それでも、我々のために貴方の身を捧げて欲しいんです」






我々の、為に………ねぇ、







でも、逆らえば家族や自分の身になるかあるかわからない






私は無言を貫いたまま、城の中に戻るために歩き始めた






ハヤト様の横を通るとき、






「貴方の自室は、二階の一番奥になっています






荷物も全て揃っています、食事までそこで待っていてくださいね」






と、そう伝えられた






私はそのまま新しく用意された自室へ足を運んだ






__________

13.ホームシック→←11.衝撃的な一言

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す