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森蘭丸 side



突然、本能寺に本来殿の家臣であるはずの明智光秀の軍が攻めてきた。



不動を殿のところへ向かわせ、自身の愛刀であるAにこちらへ来いと声をかけたときだった。



刹那、Aは何者かに腕を引かれ、力任せに障子へと叩きつけられた。



そのままAの身体は地面へと落ちていく。



蘭丸「A!!!」



私はAの名を呼ぶが、向かってくる敵の刃を受け止めては斬って、を繰り返しているので近くに行ってやれない。



Aは、敵の武士だろうか、何者かに腕を引っ張られ無理矢理立たされ、俵のように担ぎ上げられた。



反抗したAは武士に強く殴られたようで、動きが大人しくなった。



今の一瞬で両脚がだらんと力が入らなくなったようなので、もしかしたら両脚を折られたのかもしれない。



蘭丸「A、ッA!!」



あぁ、痛いだろうに、辛いだろうに。すまない、A。



私がもっとお前の近くにいたら、とっさにお前を守れていたら、脚を折られるなどされなかったのだろうか。



信長「蘭丸、どうした」



あの子の名を叫ぶ私に殿が駆け寄って来て、何事かと尋ねる。



蘭丸「殿、Aが…何者かによって、寺の外へ……」



不動「!?」



殿の後ろにいた不動は目を丸くして驚いている。



信長「そうか……不動、お前はどうする」



殿は動じず、不動に尋ねる。



不動「俺…?」



信長「そうだ。恋仲なのだろう、Aと」



つまり、追いかけなくていいのか、ということだろう。



殿が仰ると、不動はしばらくうつむいた。



不動「……主人を守るのは、刀の本分…俺は貴方と……最期まで、戦います」



蘭丸「殿、私もです……どうか、魂魄なりとも…貴方のお傍に」















焼け落ちる寺の中で、一心に願った。



どうかあの子が、また大事にされますように。



あの子が、幸せでありますように。

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作者名:たまみさん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年10月2日 23時

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