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科代A side
あれから、たくさんの月日が経った。
ゆきちゃんとは、それなりに仲良しになれたと思う。
ある日、おれは殿に言われて桜草の間に通された。
障子を開けると、先にゆきちゃんが来ていた。
『ゆきちゃん、おはよう』
不動「へ!?あ、A、おはようっ」
ゆきちゃんは座布団に正座して、なぜかかちこちに固まっている。
おれは不思議に思いながら、ゆきちゃんの近くの座布団に腰を下ろした。
しばらくして、ゆきちゃんは深く深呼吸をして、おれの方を向いた。
不動「…A、あのね」
『?』
不動「俺、Aのことが好き…好き、大好きっ」
『…!』
不動「…友達としての好き、じゃないんだ…」
ゆきちゃんは、おれの手を優しく握り、指を絡めた。
不動「こういう、好き…」
真っ赤な顔をして、そう続ける。
それにつられておれも顔が熱くなっていくのが分かった。
そっか。おれも、とっくにゆきちゃんに恋してたんだ。
不動「ねぇ、Aは俺のこと、どう思ってる…?」
『……おれも、おんなじ好き…』
そう口に出すと、ゆきちゃんは嬉しそうに笑った。
こんな幸せが、いつまでも続くと思っていた。
桜草
英名:プリムラ
花言葉:初恋
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