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ゆきちゃんが、もう一度おれを好きだと言ってくれた。



夢みたいで、でも触れる手の温度は夢じゃなくて、たまらなく嬉しくなった。



不動「…ねぇA、こっち向いて」



『?』



下を向いていたおれの両頬をゆきちゃんの両手が優しく包んで、顔を上げられた。



不動「……愛してるよ」



愛おしげに細められた瞳で見つめられて、いつになく甘い声でそう言われたものだから、顔がぶわりと熱くなったのが分かった。



そのままゆきちゃんは目を閉じて、おれの唇に一つ口付けを落とした。



数秒にも、数分にも感じたそれは甘くて、ゆきちゃんの熱が離れていくのがちょっとだけ寂しかった。



不動「…びっくりした?」



『……うん、初めてだったから』



不動「…そっか」



ゆきちゃんは嬉しそうに顔を綻ばせた。



不動「初めて、奪っちゃったね」



『……っ』



いたずらっぽく笑って、おれの唇を指でなぞる仕草にどきどきと鼓動が速くなるのを感じた。



『…て、手紙…主君に、返しに行かなきゃ』



話題を逸らしたくて、慌ててそう言うと、



不動「じゃあ俺も付いて行くよ」



と言われた。



…恥ずかしいから、ついでに顔の熱を冷やそうと思ったのに、一緒にいるなら意味がない…



でも、嬉しくはあった。

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作者名:たまみさん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年10月2日 23時

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