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科代A side
薬研はおれにたたまれた紙を三つ渡した。
薬研「それ、不動から来た手紙だ。大将から預かった」
『…読んで、いいの?』
薬研「もちろんだ。俺はちょっと用事があるからもう行くけど、ここで読んでもいいし、お前の部屋で読んでもいい」
おれは渡された紙を見つめた。
一つは、普通の手紙。
一つは、少しだけ変なところに折り目がついている。
一つは、だいぶよれていて所々墨で汚れている。
薬研「汚れてる方から一通目、二通目、三通目だ。どうする?」
『…部屋で読むよ。あとで主君に返せばいいんだよね』
薬研「あぁ、頼む」
おれは薬研にお礼を言って、部屋へ小走りで移動した。
(手紙ネタバレ注意です)
汚れている方から順番に読んだ。目を背けたくなるくらい、ゆきちゃんの苦しさが乱れた文字から伝わってきた。
三通目はなんとか文字が書けているけど、所々震えているような感じがする。
…今も、苦しい思いをしているのだろうか。
『…ゆきちゃん、ゆきちゃん…がんばれ、ゆきちゃん』
おれはただ、日が暮れるまで泣きながら祈っていた。
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