こじれてほどけてつながって【刀剣乱舞】 (ページ22)

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科代A side

三日ぶりの本丸の廊下をどたばたと慌てて走り、薬研の部屋の扉を叩く。

薬研「おう、どうした？」

『薬研、ゆきちゃ…不動は！？』

薬研「あいつか？お前と入れ違いで修行に出たぜ」

出てきてくれた薬研が、思い出したように言った。

ついさっき、三日間の遠征から帰ってきたおれは、本丸の玄関にある大きな板を見た。

板には今日の内番の人の名前が書かれた札がかけてあり、その他連絡事項の張り紙などもある。

たまに主君の札がかかっている【本丸不在】の場所に、ゆきちゃんの札がかかっていたのである。

そういうことか、と納得した。でも、修行ということは、自分の過去を見直すということ。

…殿に、会うということ。

ゆきちゃんは、歴史を変えたりしないって信じてる。歴史を守ることがおれたちの使命だから。

でも、人一倍優しくて忠誠心の強いゆきちゃんは、殿が亡くなることに耐えられないんじゃないか。

おれならきっと辛いのに、ゆきちゃんは大丈夫なのかな。

そんなことをぐるぐる考えている内に、だんだん涙が溢れてきた。

薬研「…ほら、泣くなよ」

薬研はおれの前髪をかき上げて、ちゅ、と額に唇を落とした。

薬研「………」

薬研は何か悩ましいような表情をしていたけど、ふと机の上に置いてあった紙をおれに渡した。