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薬研藤四郎 side
朝飯を食べようと席に着くと、隣に不動が座ってきた。
薬研「お、おはよう不動。珍しいな、俺のところに来るなんて」
不動「…別に、いいだろ」
なんだかいつにも増してむすっとしている気がする。
不動「…お前、あいつと何してたんだよ」
薬研「あいつ?」
首をかしげると不動がどこかを見つめているのに気が付く。
そこには、小夜と隣で話しているAがいた。
薬研「あいつって、Aのことか」
不動「…仲良さそうだな、お前ら」
ぐいっと甘酒を煽ってそう呟く不動。素直じゃねえな、本当に。
薬研「不動」
不動「あぁ?」
薬研「いつまでもそうしてると、俺が貰うぜ。Aのこと」
不動「……ッ」
Aを見ていた不動は俺をキッと睨み、拳を握り締めた。
薬研「はは、そう睨むなよ」
なんだ、結局好きなんじゃねぇか。
今からでも遅くねぇだろ。嫌われてるって思ってるAの誤解を早く解いてやれば良いのに。
薬研「…俺は本気だぜ。あいつはいつまでもお前のことしか見てねぇだろうがな」
不動「……」
不動は黙り込んでしまった。なんとなく俺はその場を離れた。
もう叶わない恋なんだと身に染みて感じて、鼻の奥がつんと痛んだ気がしたから。
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