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やがて城は焼け落ちた。明智秀光さまは城の中で腹を切ったのであろう。
…そこからの記憶は、曖昧だ。
堀さまが豊臣秀吉さまへとおれたちを献上したのだったか、薬研と一緒に豊臣家へと渡ったことは覚えている。
そこで、薬研のお兄さんや兄弟、天下五剣の……誰だっただろうか。
そんな刀たちと一緒に過ごしたことも、ぼんやりと記憶にある。
が、まもなく大阪夏の陣が始まった。
………おれは、焼けた。
最後まで薬研と一緒にいられたことが唯一の救いだった。
『や、げん……あついねぇ、』
薬研「…そう、だな……もう、足が動かねぇや」
『これで、ゆきちゃんに…もういちど、会えるのかなあ…』
薬研「…会えるだろ、あいつお前のこと大好きじゃねぇか」
『…そっか、…』
薬研「…お前とも、また会えるかな」
『うん、きっと』
薬研「…はは、そうか」
あのときの薬研の嬉しそうな笑顔だけははっきりと覚えている。
気付いたらおれは、真っ白な空間に一振り立っていた。
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