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科代A side
武士は言うだけ言って、その場から去って行った。
薬研「……A、立てるか」
『ぁ……ごめ、』
立とうとして力を入れるも、足はぴくりともしなかった。
薬研「じゃあこれでいいか?揺れるだろうが我慢してくれ」
そう言って薬研はおれを軽々と抱き上げた。
『薬研、ごめん…』
薬研「気にすんな。俺がしたくてやってるんだ」
薬研の優しさに、また涙が溢れそうになった。
薬研「とりあえず、ここに寝ててくれ。俺の布団だけどごめんな」
『ううん、おれこそ…重かったでしょ』
薬研「いや、全く。むしろ軽すぎるくらいだ。ちゃんと食ってるのか?」
薬研は冗談っぽくそう言ったあと、おれの頭を軽く撫でた。
薬研「手当てするけどいいか?」
『うん、ありがとう』
薬研は慣れた手つきでおれの身体の至るところにある傷口を消毒したり、包帯を巻いたりしてくれた。
薬研「…よし、こんなもんか。というか、足折れてたんだな」
転けたのか?と首をかしげる薬研。
『あ、いや…折られちゃった』
情けなくて、へらりと笑ってそう言うと、薬研が怒ったような顔をした。
薬研「……そうか…」
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