有名役者は氷の呼吸を使うらしい。【鬼滅の刃】壱

17話 おはよう、 ページ19

Aは、鬼舞辻無惨から逃げ切った。



体の緊張が、一気にほぐれる。
安心が、体を包む。


氷のような体が、日光で溶かされていく。





.......。

襲われたであろう、家の中を覗いた。
酷い有様だった。
それぞれが、庇い合いながら死んでいた。

自分と、どこか重ねてしまう。

特に、玄関の兄弟。
辛かった。








A｢.......成仏、して、くださ......い｣







フルフルと震える手で手を合わせた。

悲しい、辛い気持ちが溢れる。









その、瞬間。









.ｸﾞﾗﾘ......。







っ、！！



このままでは倒れる。


フラフラと、家の後ろに回り込み

ﾄﾞｻﾘ､と、背中を壁に預けた。





だいぶ重症だが、

血が止まれば、まだ動けそうだ。
呼吸を整えて








...................？








.......Aの体に、異変が起き始めていた。









傷が、






みるみる、塞がる。









A｢な、に、これ｣



気味が悪かった。
人間はこんなこと出来ない。









鬼だ！！！！！！！









まずい、まずい、まずい！！




だが、自我はある、大丈夫だ、

爪は？？大丈夫

言葉は？？さっきまで喋れてた

知能は落ちていない。大丈夫。

記憶もかけてない.......はずだ。







目は..............................





チャキン





刀の刃で、自分を見た。

言葉は、出てこなかった。








鬼の目だ。


瞳孔が細くなっている。




.......死にたくなった。








あぁ、

せっかく、逃げ切れたのに
なんてことだろう。




と、絶望した瞬間







.......







ブワッッッッ









いきなり、嗅覚が敏感になって



血の、匂いが、鼻を掠めた









腹が、減っていた。
喉が、乾いていた。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








鬼舞辻｢.......下がれ、上弦の肆｣



ベベン






.............日光を、見た。
直ぐに逃げたため、
鬼舞辻はダメージをそんなには受けていなかった。



久しぶりの、日光だった。



取り逃したのに、心は静かだった。



泉澄深 Aを、上弦の肆に
捕まえさせるのもいいが、
それでは何も面白くない。
自分で捕まえたい。

Aはまだ若い。時間ならある。









ーーーー｢おはようございます、鬼舞辻無惨さん





朝ですよ｣








...................。



もう一度、言ってはくれないだろうか。

おはようございます、と。

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