#26 ページ26
慎太郎に告白された時
自然と返事が出てくるくらい
慎太郎に惹かれていたのは事実で
今もその思いに変わりはないし
嘘もない。
でもゆっくりと着実に
気持ちが揺れ動いていっているのも事実だった。
例えば慎太郎と一緒に迎える朝は、隣にあった温もりはなくて、朝食を作る音と匂いで目を覚ます。
ベットから出ればすぐに目の前に朝食が並べられる。
慎太郎は俺に体の負担かけてる方だからと言って、いくら俺が作ると言っても朝食は必ず作ってくれた。
だからあの頃のように
俺が起きても寝息を立ててぐっすり眠っていることも
朝食は俺が作って、食べないと言いはっているのに無理矢理食べさせることも
食べたあとに皿をそのままにしていることもない。
洗面台で歯磨きをしていて無理矢理割り込んで来ることも
洗面台の鏡に水滴が飛び散っていることも
タオルが無造作に置きっぱなしにされていることもない。
俺に向けてくれる完璧すぎる優しさは
当たり前のように幸せだけど
優しさなんかの前に
どうしようもなく
だらしなくて
世話ばっかり焼いていたあの頃に
どことない寂しさを覚えてしまっているのがその証拠だった。
｢北斗ー｣
｢うわっなんだよ急に｣
｢抱きつきたい気分だったのー｣
｢なんだそれ｣
｢いいからいいから｣
そう言って抱きしめられる体は大きくて
自然と俺の体は慎太郎に収まっていく。
｢慎太郎ってさ…
身長何cmだったっけ？｣
｢え？175だけど？｣
｢そっか…｣
｢え、なになに｣
｢いや慎太郎俺より身長低いんだね｣
｢まさかの急な嫌味ですか？｣
｢違うよ。俺より大きく感じるから｣
2cmの差が今は大きくて頼もしく感じる。
でもあの頃の3cmの差は小さくて守りたいと思っていた。
1cmの差なのに
こんなにも違う。
また
こんなことを思ってしまっている。
やっぱり俺らは会うべきじゃない。
会ってはだめなんだ。
忘れてかけていた。
京本に別れてくれと言われたあの日から
俺らは一生会わない覚悟で別れたことを。
京本が今どうして俺と会っているのかは分からない。
でもどうであれ
今の俺には慎太郎がいる。
本当に区切りをつけなければならない。
取り返しのつく
今のうちに。
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くれよん(プロフ) - 腐女子ちゃんさん» コメントありがとうございます！毎日更新目標に頑張っていこうと思います！本当にありがとうございます(^^) (2020年5月24日 17時) (
レス) id: 664958a767 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子ちゃん - 面白いです！これから関係複雑になっていきそうですね…作者さんのペースでいいので更新頑張ってください！応援しています！ (2020年5月24日 8時) (レス) id: 7a4cdc3ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くれよん
| 作成日時：2020年5月24日 0時
