第十一話【面倒ブレイクファースト】 ページ1
[ユウside]
朝練を終えたあと、サバナクローのみなさんと一緒に大食堂で朝食を食べる。屈強な獣人たちに囲まれてのシャワーは自分が貧相に見えてしょうがなかった……。
「ひと汗かいたあとの朝メシは最高なんだゾ!いつもより肉が食いたくなるってもんよ。はぐはぐ!」
いつも以上に食が進むグリム。それは僕も例外無く、朝はほとんど食べないに等しい僕の胃袋は、珍しくハンバーグを平らげそうだ。すると一緒の机で食べていたレオナ先輩が顔を上げて僕らを見た。
「そういえばお前ら……なんであのタコ野郎と取引なんて馬鹿な真似しようと思ったんだ。おかげで俺の部屋が狭くなっただろうが」
ムスッとした表情のレオナ先輩にかくかくしかじかと説明をする。するとそれを聞いたレオナ先輩は鼻で笑う。
「ッハ!期末テストでアイツと契約したバカ共を自由にするために取引しただと!?ハハハ!コイツはいいな。背筋が寒くなるぜ」
「ま、アズールくんの対策テスト対策ノートはスゴいって噂ッスからね。フランのおかげもあってかなり有名だし。欲しくなるのもわからなくもないッスけど」
「そういえば、二人とも今回の試験でアズールとは取引しなかったんスね」
確かにレオナ先輩なんかは一番楽したがりで手を出してそうなんだが…。それをジャックがボヤくと、
「ばーか。誰が好き好んであんなインチキ野郎と何度も取引するか。背に腹は変えられなくて取引したことはあるが……毎回ロクな条件じゃなかった」
との事。どうやらこのテスト対策ノート以外のことで取引をしたことがあるらしい。しかしよっぽどのことがない限りは進んで力を借りたくはないらしい。僕も今回の一件で思いしった。けど、レオナ先輩も頼ることがあるほどの力の持ち主だなんて…。
「そもそも取引ってのは、欲しいものがあるほうが不利に決まってる。頭の回らない草食動物が軽い気持ちで契約すりゃ、あの手この手でカモられるのがオチだ。それにあのキツネに魅入られたが最後、何も無くなるまでやられるしな」
「うっ……」
条件が揃いすぎてすごく不安になってきた…。
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作者名:白黒-モノクロ- x他1人 | 作成日時:2022年9月2日 22時