恋愛偏差値〇〇です！３【問答打】

続き ページ8

だから、今この部屋には俺らしかいない。鼓動のリズムが早くなる。だから、今この部屋には俺らしかいない。鼓動のリズムが早くなる。
　山本さんはニコッと笑うと、もう一度「何を頑張るの？」と聞いた。俺は慌てて答える。

「し、仕事ですよ！ 最近少し疲れてて、しかも週末もほど遠いですから･･･」

　嘘はついていない。ていうか、本人に「貴方に好きになって貰う事です」と言える奴は、中々いないだろう。
　すると彼は、「そうだよね〜、僕も頑張らないと！」と企画書を見た。これから問題作りかな･･･、大変だ。

「山本さんも疲れたら休んで下さいね？」
「うん、気をつける」

　ヴッ、素直で超絶可愛い･･･。
　各々が仕事に戻ろうとした時、山本さんが「あ」と声を出して、此方へと戻ってきた。何か俺に、聞きたい事でもあったのだろうか。

「どうかしましたか？山本さん･･･」
「こうちゃん、二つのニュースがあります」

　なんの前置きも無く吐かれたその言葉に、困惑を隠せない。二つのニュース？

「良い方のニュースと、悪いニュース。どっちを先に聞きたい？」

　頭にクエスチョンマークを浮かべている俺を無視して、山本さんは悪戯っ子の様な笑顔を見せながら畳み掛ける。
　俺は戸惑いながらも、「じ、じゃあ悪い方で」と言った。えっ、悪いニュースを選んだ理由？何となくだけど･･･。

「おっけー、悪いニュースね！悪いニュースはね･･･、僕さっき廊下で転んだ」
「は？」
「いや、だから廊下で･･･」

　わかってるよ、通じてるよ。ただ、悪いニュースって言うから、どんなものかと思ったのに･･･廊下で転んだだけ？

「そうだよ！僕が廊下で転んだのが悪いニュース！大変でしょう？」

　この人は本当に･･･。俺が貴方のことで悩んでいる事も知らないで。

「えーっと･･･、じゃあ良い方は？」

　これだと良いニュースも期待できる様なものではないだろう。山本さんが揶揄って、面白がってるだけな気がする。
　聞いても軽く流しておいて･･･、と俺が考えていると、山本さんの顔がピシッと固まった。目の焦点があっていない。

「山本さん？どうかしましたか？」
「えっ、あ、あぁ！良いニュースね！うんうん、良いニュース･･･」

　彼方から言いに来たのに、急に慌てるなんて、何かあったのだろうか。それとも、もしかして重大な事を思い出したとか･･･？

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