悪党たちの遊戯。【リレー小説】 (ページ7)

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ちょっと休憩/スカイブルーページ7

◇◆

　よくよく考えてみれば。
　毎日毎日、子供達の前に出て笑いを取り。お客さん一人一人に完璧なファンサをし。空気を読んで皆を楽しませて。

　楽しいんだけど。いや、楽しいんだけど。

「疲れたなァ……」

　ここ最近は特に忙しかったような気がする。

　スカイくん、こう見えて周りの事ちゃんと考えてるから。
　いや、まぁ自分で言うなって話だけど……やっぱり、普通の人より疲れやすいと思うんだよね。

　寝る？ゆっくり休む？
　それもいいけど、もっと良いストレス解消法をオレは知ってる。

「ナイトちゃーん！！」

　ハイテンションで絡みに行っても、「何ー？」って普通に返してくれる。

　面倒事を頼まなければ“いい友達”でいてくれる辺り、嫌いじゃないよ。

「あのさァ、新しいマジック思いついたんだよね！見て見てー」

　まず、右手にコインを乗せる。

　左手にも全く同じ、銀のコインを乗せる。

　それをギュッと握って手の甲を上に向け、ゆっくり交差させる。それだけ。

「はいっ！」

　両手を開くと、どちらのコインも金色に変わっていた。

　実は、割と簡単なマジックで――タネ明かしは厳禁だけど――コインマジックは、言わばオレの得意技。

　何気にナイトちゃんには見せてなかったから、きっと驚いてくれると思ったんだけど。

「……そのくらい、不思議の国じゃ普通だよ？」
「ええぇ……」

　露骨に肩を落として落ち込む。いや、そうなるとは思ってたけど。

　どのマジックを見せてもこんな感じで……初めて出会った時からなんだよなー。

　悪気が無いのは分かってるし……まァ、リベンジマッチの楽しみが増えるからいいけど。

「そう言えば、顔色悪いね？どうかしたの？」

　……おっと、まさかの変化球。気づかれるとは思ってなかった。

「ちょっと気分転換したいなァって……そうだ！チェス盤、出してよ！」
「え？具合悪いのにチェスするの？」
「元気が出るんだってば。ねェお願い、騎士殿ー」

　彼女と居る時のオレは、さぞ子供っぽく見えるんだろうなァ。

「分かったよ、ウィザード君。前はどっちが勝ったんだっけ？」
「マジックもチェスもキミの勝ちでしたー。今回こそは勝ってやるからな！」
「はいはい、楽しもうね～」

　不思議の国は楽しい所なんだろうし、人間の姿じゃ面白くない事もあるけど。

　何だかんだ、こうして誰かと遊んでられる毎日に、感謝したりしなかったりする。