カテキョの誘惑 ―green―

21． ページ21

.









『なぁなぁ、何かあったん？』









夏休みも終盤に入って、

８月最後の先生の授業。









「‥‥えっ？」









『丸付け終わったでって言うてんのに、ぼーっとしてるから。』









先生は、最近ずっとそうやで〜？

って、あたしに答案を渡しながら付け足した。









「あ‥‥いえ、別に‥‥。」









先生は、花火の日以降も、

あたしを抱きしめたことなんてなかったみたいに、

今まで通り何も変わらない。









『何か悩んでるんやったら、相談しぃや。人生の先輩が話聞いたるから。』









悩んでる原因の１つに、

先生に抱きしめられた事も入ってるんだけどな。









「‥‥先生、」









『んー？』









「彼女さんって、どんな人ですか？」









『彼女？おらへんよ？』









「えっ！？でも、前にそのピアスの事聞いた時、彼女からのプレゼントって‥‥、」









『そんな感じって言うただけやん。彼女おるなんて言うたことないやろ？』









確かに、彼女の話は聞いたことがないし、

先生からいるとも聞いたことはなかったけど。









『いきなり何で？恋でもしてるん？』









「いえ、別に‥‥。」









『ほら、先生に話してみ？恋愛のゴタゴタは受験に影響しかねへんから。』









先生は楽しそうに笑ってるし、

ただただ高校生のうぶな恋愛に

興味があるだけだと思うんだけど。









でも、ずっと内に秘めてたこのもやもやを、

誰かに聞いて欲しかったのもあって、









あたしは、

花火大会の日、丸ちゃんに告白されて、









何も返事が出来ないまま

一度も連絡を取っていないことを先生に話した。









→

22．→←20．

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す