【ルパパト】ちらしの裏(2)

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目が覚めた時は病院だった。あれから丸一日寝ていたようだ。兄さんに怒られないといいな。捕まったのは私の落ち度ではないけど、煽ったから。煽ったせいで怪我は増えたし。怪我は多いが内臓等器官にはほとんど影響がなかったのは幸いだ。運が良かった。

「朝加ってほんと運ねえよな」
「運が良かったと思っていたところにそういう言葉かけないでください」

一番最初に見舞いに来てくれたのは先輩だった。ちょうど外出だったらしく、休憩の時間として来てくれた。外暑いと言っていたからクーラーの効いた部屋に避難しに来たのかもしれない。先輩1人だけアイス食ってるし。

「ギャングラーに捕まってる時点で運は最悪だろ。事実、俺は今まで一度もギャングラーってやつは見たことないしな」
「それはそうですけど」
「…お前さ、また関西に戻ってみれば。事情もあるし、関西にも仕事あるし。関西にギャングラーが出ないわけではないけどよ、ギャングラー犯罪はやっぱりこの辺が多いんだよな。お前の兄貴も、お前がこう何度もギャングラーに狙われてたら落ち着いて仕事出来ないんじゃないか？」
「そうかもしれませんね」
「高尾と離れるのが辛いのはわかるけどな」
「なんでノエルさんが出てくるんですか」
「彼氏だろ」
「じゃないです」
「まだ付き合ってねえのかよ、中学生かよ。いまどき中学生の方が進んでるわ」
「先輩に関係ないでしょうが」
「まーな」

アイスの最後の一口を食べ終えると、先輩はゴミをゴミ箱に捨てた。そのまま一足飛びにドアへ飛び、ガラッと開けた。先輩、俊敏。そんなに動ける人だったのか。

「こんにちは、高尾、朝加のお兄さん。盗み聞きとはよくないなぁ」
「ぬ、盗み聞きをしていたわけではない！」
「ボンジュール、康介くん」
「じゃ、俺は仕事に戻るので」

先輩はベッド横に置いたカバンを手に取った。

「さっさと治して仕事戻れよ。お前のせいで忙しさ1.5倍。毎日定時にしか帰れねえ」
「定時退社してるじゃないですか」

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