序章 ページ3
『お姉ちゃん！ お願いっ……！ 死なないで！ 私を、おいていかないで……!!』
『なか、ないの… わたし、愛する人のこどもをうめて、しあわせだったの……、だから、悔いはないのよ……』
『おね、おねーちゃん…？ おねえちゃん、おねえちゃん!! ……!? い、いやぁぁあああ!!』
「……さ、！ …い！ …、零羅さん!!」
「はっ…!? はぁ、はぁ…、」
魘されている零羅さんを見て、いてもたってもいられなくなった私は零羅さんの体を大きく揺すり、起こしていた。目を覚ました零羅さんはまだぼーっとしているようで、焦点が合っていなかった。また、あの夢を見ていたのだろうか…と、私の頭に一抹の不安がよぎる。考えすぎだろうか？
「零羅さん」
もう一度声をかけてみると、零羅さんは緩慢とした動作でこちらを見つめた。……よかった。途端、目を覚ましたようで零羅さんは申し訳なさそうな顔をする。
「…ごめんね、澪ちゃん。…ってああ、そんな顔をしないで。ただ、こっちにまだ慣れてなかっただけだから」
「そっ、か…」
そう返事をすると、零羅さんはなにかに気づいたのか私にいってらっしゃいと言う。そうだ。今日から新しい学校なのだった。行く前に零羅さんに一声かけようとして、ドアをノックしても返事がかえってこなかったから部屋に入って…。そうしたら、魘されている零羅さんを見つけて……
「ほらほら、今日は転入初日でしょう？ いってらっしゃい」
「ん……いってくる…」
玄関にて、寝間着姿のままの零羅さんに見送られながら私は家から出る。
並盛町の町並みを見ながら、ここに引っ越してきた時のことを思い出す。並盛には、一週間ほど前に引っ越してきた。
それは、学校から帰ってきて零羅さんと一緒に夕食を食べているときに唐突につげられた。
『澪ちゃん…あのね、私転勤することになったの…』
『え？』
そんな会話から気が付けば一ヶ月。あれよあれよという間に話が進んでいき、いつの間にか引っ越していた。零羅さんはお友達と離れ離れになってしまうけど…と心配していたが、いらない心配だ。だって私には友達と呼べる人は一人もいないのだから。
一人心のなかでそうごちながら、新しい学校について考える。
(どうせ、前とたいした変わらない学校なんだろな……)
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千聖(プロフ) - まゆさん» 雲雀恭弥の方にもコメントしてくださってくれましたね！ まゆ様と呼んでいいですか！？ 笑。こちらも執筆頑張りますね！ (2017年2月11日 13時) (
レス) id: 534ce7f1f4 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが気になります^_^ (2017年2月11日 13時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千聖 | 作成日時：2017年1月26日 20時
