轟君はウラオモテ。【ヒロアカ】

44話なんて。 ページ49

Aside







...こんなの、ただの自己満足かもしれない。



彼からしても、勝手に自分がイメージされた絵なんて、迷惑かもしれない。




そう、頭の片隅では思っていても、自然と手は止まらなかった。



あの絵をベースに、あの絵とは別の物を。




だって、あれじゃあ彼を表現するには足りなさ過ぎる。











.....焦凍君は、




冷たいのにどこか暖かくて、




強いのに繊細で、




かっこいいのに綺麗で...












....そんな彼が、私は大好きで.....














.......せめて、







この想いを伝えてはいけないのなら、せめて、この絵に全てをぶつけたい。






百ちゃん...私の大切な友達が信じてくれた私の力を発揮したい。







...彼には邪魔になってしまうこの感情を、少しでも和らげたい。






そう、強く願っているうちに、気づけば視界が歪んで、頰が冷たく濡れていた。
















....あぁ、やっぱり好きだよ。




自覚しないまま溜まり続けた感情がはっきりわかった今、その想いが溢れ出して止まらない。




それは、女の子が憧れるような、夢いっぱいの物語とは程遠くて。








ドロドロとしていて、とても醜い。









....どうして彼のような人を好きになったんだろう。




どうして彼を想うとこんなに苦しいのだろう。









.......どうして、私は彼の隣にふさわしくない女の子なんだろう。






そう思えば思うほど、涙は止まらなくて、





作業用ライトが手元を照らすだけの薄暗い部屋で、私は1人嗚咽を漏らした。






...この汚い感情をぶつけた絵だとしても、百ちゃんが....









.....焦凍君が見ても、『綺麗だ』って言ってもらえるような絵が描けるように。





一瞬止まった手をまた動かして、






少し赤くなってしまった目を擦り、







ただひたすら、彼への想いを綴った絵を完成させた。

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