33話なんて。 ページ36
Aside
「まぁAさん！その絵、スズランですの？とてもお上手ですわ！」
昼休み。
先程中庭に咲く花のスケッチを終え、自席に着くと百ちゃんに声をかけられた。
私の絵を覗き込んで目をキラキラと輝かせる彼女が可愛らしくて、思わず笑みがこぼれる。
「ありがとう百ちゃん。でも、そんな事ないよ。私なんて大した事ないし...」
「いえ、私はこれ程美しい絵は描けませんもの。細部までしっかりと描かれていて、Aさんの繊細さが伺えますわ！」
......本当にそんなことないんだけどなぁ....。
すごいすごいと絶賛してくれる百ちゃんに、褒められることに慣れていない私は苦笑いを浮かべてしまう。
...私は絵を描くことが好きだけど、他の人に見せられる程いい物は描けないと思う。
絵はその人の世界の景色そのものだ。
私の世界は、彼女が言うほど綺麗なものじゃない事は自覚済みだし....
そんな風に私の悪い癖である自虐に走っていると、おもむろに百ちゃんは
「あの、本当に良ければなんですが...スケッチブックを拝見してもよろしいですか？」
と、スズランの花が描かれたスケッチブックを持って尋ねてきた。
それに驚いて、つい、『.....えっ.....』と声が漏れる。
...今まで絵を見せる事も、ましてや見せて欲しいと頼まれる事なんてなかった。
初めての事に戸惑ってしまっただけなのだが、どうやら彼女に勘違いさせてしまったらしい。
「あっ、すみません、出過ぎた真似を...！嫌でしたか...？」
慌ててスケッチブックを机に置こうとする百ちゃんに、私も負けずに慌ててそれを制し、
「ち、違くて！ごめんね、ちょっとびっくりしただけだよ！...その、人に見せられる程の作品じゃないんだけど...それでも大丈夫...かな...？」
目を逸らしてきくと、彼女は嬉しそうな声で『ありがとうございます！』とスケブを開いた。
...楽しそうに見てくれるのは嬉しいけど、なんだか恥ずかしいな...
そんな思いもあって、そっと目線を下げる。
しばらく床のタイルを数えていると、急に百ちゃんが
「...まぁ....」
と息を飲むのが聞こえた。
...何か彼女の気に入らない絵があったのかな....
不安になって顔を上げると
そこには、先程よりさらに目を輝かせて絵に魅入る百ちゃんの姿があった。
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セレネ(プロフ) - 続編すごく楽しみです！更新大変だとは思いますが頑張ってください！応援してます！ (2018年8月17日 14時) (
レス) id: caaac3f99a (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 続きみたいです(吐血) 更新大変だと思いますが、応援しています。この恋の行く末楽しみです。 (2018年8月16日 22時) (レス) id: b9e3ade31c (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - 続編めちゃくちゃ楽しみにしてます。更新頑張って下さい。応援してます。 (2018年8月3日 22時) (レス) id: 5deb47caf1 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - 私も映画見ました！！本編じゃ絶対見れないようなシーンもあったので嬉しかったです。特にかっちゃん。 (2018年8月3日 22時) (レス) id: eef577390e (このIDを非表示/違反報告)
白龍(プロフ) - 久々の更新とても嬉しかったです！続編おめでとうございます！！これからも頑張ってください！ (2018年8月3日 21時) (レス) id: e12a3831fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kuumi
| 作成日時：2018年1月2日 22時
