せくしーたち10

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勝利side

お母さんと大喧嘩した。あんまり喧嘩しないからさ、どうしたらいいか分かんなくてむしゃくしゃして家出してやる！！って叫んで飛び出した。

でも、どこ行けばいいか分かんなくて、お母さんも多分すぐ帰ってくると思ったのか追いかけてきてくれないし。それで聡くんに電話してみたの。

「聡くん〜今どこ？」
「新幹線乗るとこだよ。何？」
「家出しちゃった...」
「え？！」
「助けてぇ」
「えぇ...じゃあ一緒に静岡行く？」

そんな突拍子もない思い付きに、頼ることにしちゃったの。新幹線遅らしてくれるって言うからすぐ東京駅行ったら待っててくれた。

「勝利くん！」
「あ！ごめん...」
「いいよ。静岡まで行くんだよね？」
「うん！」
それで2人して新幹線乗った。お金なくて切符買えなかったんだけど、なんか聡くんが入場券買えば入れるし自由席なら大丈夫ってよく分かんないこと言うから。

それで乗れたのね。でも2人とも仕事終わりで疲れてて、寝ちゃってて起きたら静岡過ぎてた。しかも、改札出ようとしたら出れなかったの。

「聡くん！どうしよ！出れない！」
「え？」
「どうしよ！！」
「えぇ...」
もう時間が遅くて、聡くんのスマホは充電切れ、僕のもあとちょっとしかない...

さっきから何件も連絡来てるし。
「...お父さんに連絡する？迎えに来てもらう？」
「怒られるよぉ。勝利くんのお母さんにしてよ」
「絶対やだ！」

しばらく2人で押し問答してたんだけど、どうしようもなくて、結局健人くんってことで話が付いた。で、健人くんが話付けてくれたらしくて、知らない事務所の人が改札の向こうから声かけてきた。

「事務所のスタッフなんだけど、改札出てきて。親御さんに連絡付いてるから」
「あのっ...出れなくて...」
「なんで！切符なくした？」
「あのぉ...えっとぉ...」

仕方なく全部説明したらあきれた顔で駅員さん呼んできて、いっぱい謝ってお金払ってくれた。もちろん、僕たちもめっちゃ頭下げたけど。

「はぁ。今日は遅いからJUMP泊まってるホテルの空き部屋に寝ていいよ。勝利くんは明日東京までスタッフ1人と帰りな？」
「はぃ」

「聡くんは静岡だよね？明日朝イチでお父さん来てくれるって」
「え？！はぃ」
「次の東京での仕事のとき、事務所から呼び出しあるって。まぁ反省しといで」

車でホテルつれてってくれて、入ったら先輩たちが大丈夫かーって声かけてくれた。

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