ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ9)

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❑霞んでいくページ9

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Aが存在しない要因であるインタラプトを探す。

ラグナロクを初めにひとつずつ遡っていき、
分岐となり得るものを手探りで思い出していく。

分岐となり得る出来事を書き出していけば、
懐かしく感じてしまう、1つずつの軌跡に思わず身が引き締まる。

重々しく口を開いたのは山菜茜。
鈴が転がるような愛らしい声で、小さく呟いた。

「…無い」

そう、無いのだ。
振り返ってみれば、Aは常に雷門イレブンと共に居たけれどお気に入りの橙色のクッションに浮かんでは、宙を漂っていた。

頼もしい仲間であったことに変わりは無いが、試合に参加することはない。

雷門イレブンと合流した時でさえ、最初は敵として現れたはずなのに。今では、フェイの傍らから離れずにいた。

「いや、可能性ならある。ここだ…」

霧野が指した分岐点。
それは、Aが未来からの刺客として現れ、雷門イレブンの前に立ち塞がった時。

何も言わず、空に浮かんでただ、こちらを伺っていた様子を鮮明に覚えている。

「あれ？でも……サッカーしたかな？」

天馬が不思議に思ったことを口にすれば、一同があれ…？と首を傾げ始めた。

「ねえ待って、Aちゃんっていつから一緒にいた？」

葵が眉を下げ震えた手を隠した。

傍らにいたはずのAとの記憶が薄れていく。

出会った瞬間は鮮明に思い出せるのに、なんて言葉を交わしたのか。
共にフィールドを駆けたのか。

それが、消えていく。

「だめだ！！忘れちゃだめだ…！！」

声を上げたフェイは、必死に頭を抑えていた。
消えるな、まだ、まだ、何の手がかりもないんだ。忘れてしまっては、Aへの道標が無くなってしまう。

悲痛な叫びに胸を打たれる。
けれど、霞んでいく記憶の向こうに微笑んだAが。

サッカー棟。

完全なる屋内に、ふわりと風が吹いた。

神童の柔らかな髪が揺れ、霧野の下げられた髪がなびき。
錦龍馬の一つに結んでいた髪がひらりと舞った。

ジャージの裾が風の形を象るように揺れていく。

瀬戸水鳥の長い髪、スカートが揺れ、水色のリボンがはらりと解けては、ひらりと床に落ちる。

「おっと…」

水鳥が腰を折って、リボンを救い上げた

その瞬間

天馬が瞬きをした

「あれ…僕達…なにを」

影山輝が乾いた声で呟いては、隣に並ぶ狩屋マサキに声をかけた。
目が合った狩屋が、ええ？とそれは無いでしょ輝くん！と笑い声を上げて…

「俺たち…今……」

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