ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ6)

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❑ストロベリーページ6

皆が見守る中、ワンダバの柔らかい両手を掴んで、お願い！と訴えかけるフェイ。

顔を顰めたワンダバは、アルノ博士を見ては俯いた。

「出来ないことはない、だが…」

フェーダと和解し、SSC抑制ワクチンが存在した世界線を辿ることはそう、簡単ではない。

初めて出会った日に、接触をはかりどんな危険を孕んだインタラプトが起きて、確定した未来に綻びが生じたら。

それは、全ての努力が無駄になる。

それだけは、避けなければならない。

その事実にフェイは、表情を強ばらせていく。

「それじゃ…どうやって…！」

闇雲に飛んでも会える可能性はなく、仮に会えたとしても干渉してはならない。
それならどうやって彼女を救い出すというのだろう。

あの……と、黄名子が手を上げた。

「本当にAは消えちゃったのかな？消えるなんて…そんな簡単なことやんね…？」

アルノ博士を見た黄名子は、ワンダバを見詰めた。
ふうむ…と腕組み、可能性の導きを始めるアルノ博士。

息を飲んで見守る雷門イレブンに、不安げなフェイは俯いたまま。

「今はまだ、どこかに居るだろうな」
「それじゃ…！」
「ただ、時限爆弾のような物だ。A本人が言っていたはず……」

いつかきっと、時間が解決してくれる。
パラレルワールドとしての分岐がAの存在しない世界を決定した時、ゆっくりと、パラレルワールドが1つの道に集約する。

未来は選べても、起きた事象は1本の道になる。

その時矛盾となる“A・ウィルド”という存在は痛いくらいに優しく、淡く時の流れと共に思い出から記憶から消えていく。

「やはり、確実なのはインタラプトであるAを見つける事…」
「そこへ真っ直ぐ迎えるアーティファクト…か」

その、アーティファクトを見つける為の途方もない旅が始まろうとしていた。

Aの13年間を辿る、長い、長い旅。

.

「フェイは無事に君に辿り着けると思う？A」

つん、とストロベリーピンクの宝石。

否。

クロノストーンを指先で弾いたのは、白い手袋をしたSARUだった。
歪な丸い形をしたクロノストーンに触れるSARUは溜息をついた。

「君も、無茶するね…」

フェイには見せなかった、Aとの最後の一言。
それは、Aの一縷の望みだった。

『もし、SARUが間に合ったら…私をクロノストーンにして欲しいの』

クロノストーンに雨が滴る。

「きみなんて、見付けなければよかった…」

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