ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ50)

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ワンダバが待ってるから行くよ。
フェイはそう言い、扉を開いた。

「…必ず、Aを見付けてきてね」

声をかけられ、フェイは当たり前。と微笑む。
走り出そうとしたフェイへ、手を握りしめていたSARUが、声を上げた。

「必ず帰ってこいよ」

「…うん」

失うはずの命を繋ぐ代償は、計り知れない。

「行ってらっしゃい…」

フェイの後ろ姿へ、ニケが背中を押す。
手を握り合い、ギリスとメイアが見詰めたその背中に、必ず会える事を祈り。

「…ところで、SARUは本当にAの事が好きなの？」

メイアの言葉に、SARUは床を転がる。
その様子を見守るギリス達は、SARUからの言葉を待った。

「……いや、否定しても肯定しても疑うでしょ」
「ええ」

間髪入れずに、メイアが頷けばだろうと思ったさ。とSARUは立ち上がり、腕を伸ばした。

「罪滅ぼしだよ、皇帝からの」
「罪滅ぼし？」

どこかの世界で、心から愛した人を自らの手で失った。
その悲しみに、全てが眠る銀世界に変えてしまった。

全てを氷の世界に閉じ込めたAと、その深い愛情を理解出来ないでいた幼い皇帝からの。

罪滅ぼし。

心の隅で祈っていたのだろう、笑ってサッカーが出来る世界があったのなら───────。

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ルーンの文字が刻まれた石が散らばっていく。

沢山の石の中、たった一つだけ何も彫られていない石を拾い上げる。

ウィルド・ブランクルーン

それは運命。

「君はこの石に何を見る？」

「必然とされる運命？」

「それとも、新たなる始まり？」

「はたまた、未知なる可能性？」

「何も無いからこそ、そこにだけ描けるものがある」

「君の名前はウィルド…A・ウィルド」

──────白雪のような魂に優しく触れる。

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