ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ48)

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❑ 重なる世界線ページ48

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「君がそれを言うのか！」

唖然としたSARUへ、全てのインタラプトが指し示した先の始まり。
皇帝が差し伸べた手から始まった事なのに。

「君が、Aを救ったからAと出会えたんだ！例え離れてしまっても、生きているならそれで……！」
「救ってなんかいない！」

振り払ったSARUは、フェイを睨み付ける。

「全部……見えたんだ」
「……は？」

風が吹いた時、パラレルワールドの自分が重なった。

滲む掌で顔を覆い、SARUは皇帝として人として、何処までも非道であった事をこんなにも悔いる日が来るとは。

「助けたんじゃない」
「どういうこと…？」

震える手で、SARUは前髪を握り締めた。

「力が欲しかったんだ…世界を蹂躙する為のSSCの力が」
「…SARU？」

あの日、過去の事件を流し見していたSARUは1つのフォルダを見付けた。
そこには、6歳にも満たない少女が力の暴走で家ごと、爆発させてしまったこと。

生存者は誰も居ない。

「…Aの力は、僕達以上だったんだ」
「SARUよりも…？」

信じられない、と目配せしあうフェイ達は罪悪感に蝕まれるSARUを見詰めた。

「あの子の力があれば、ラグナロクは勝てる。それどころか、世界を陥落する事なんて簡単だった」
「でもそれは可能性の話でしょう？」

メイアが口を挟めば、SARUは鼻で笑った。

「実際に起きた未来の一つだ」
「そんな…っ」

顔を上げたSARUは、フェイを見詰めた。
不安そうに眉を下げたフェイに、SARUは笑いかける。

「どんな世界でもAは君を好きになった」
「……え、」
「命を拾った僕ではなくて……君を」
「SARU、もしかして君は…」

特別目にかけて居たのも、そばに置いていたのも。
触れることを躊躇い、見守ることしか出来なかった不器用な思いの。

「もうそんなことはどうでもいいよ、どうせ手に入らないのなら……居ない方がいい」
「本気で思っているの？」

ギリスは、メイアの肩を強く抱きしめ、SARUを見下した。
睨み付けるような視線に、はあ？と威圧的にSARUは返す、けれどギリスの瞳に込められた感情に、視線を背けた。

「…わかってたんだ、本当は」

床へと仰向けになったSARUは、無機質な天井を見上げた。
目を閉じ無くても、そこにAが空を泳いでるような気がして。

「Aは僕の事を皇帝とは呼ばなかった」
「SARU、」
「あの子の中に……僕は最初から居ない」

その声で名前を呼ぶはいつだって皇帝とフェイ。

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