ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ45)

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❑ 2人の女の子ページ45

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それは、覇者の聖典に記された時空最強イレブンを求める旅の中。
太古の力を宿し、その牙は海をも割る“ダイナミックミッドフィールダー”

太古の覇者である“恐竜”の力を追い求めた時。

むき出しの岩場に腰を下ろし、心配そうに息子であるフェイを見つめる黄名子。
その隣に浮遊するAは、不思議そうに黄名子を見た。

「A？ちゃんと話すのは初めてやんねっ」

笑顔を向ける黄名子に、Aは頷きその隣に腰を下ろした。

“黄名子は、よくフェイを見てるね”
「んぇえ？！そ、そう？そういうAこそ！よくフェイをみてるやんね？」

慌てた黄名子は、Aへそう切り返し、目を細めて楽しそうに顔を覗き込む。

「Aも未来から来たんやんね？もしかして、フェイの事が好きだったり…？」

その言葉に、Aはクッションで顔を覆い、こくりと頷いた。

「きゃ〜〜！！可愛いっウチ嬉しい〜っ」

ぎゅうぎゅうに、Aを抱き締める黄名子。
腕に包まれたAは、不思議そうに黄名子を見詰めた。

「フェイを想ってくれる人がいて、本当に嬉しい……ありがとう、A」

優しい背中を撫でる手に、Aは瞳を伏せ、クッションへと顔を埋める。

「ねぇ、A」
“なに？”
「何があっても、フェイの味方でいて。信じていてほしいやんね……あの子のこと」

黄名子の言葉に、Aは目を細めて見詰めた。
綺麗な笑顔に黄名子は少しだけ頬を染める。

“フェイは、私に好きを教えてくれた。暖かいもの、嬉しいもの、優しいを教えてくれたの…”

「……フェイが？」

こくりと頷いたAは、頬を染めて空へと手を伸ばした。

“フェイは優しい。暖かい。サッカーが大好き……何も変わらない”
「…Aは本当にフェイの事が大好きやんね」
“うん！”

嬉しそうにはにかむAに、瞳が潤んでしまう黄名子。
その手を握り締め、確かな事がわかった。

ただ、サッカーが大好きで。
仲間思いで、優しい……SSCとして、俯いた日々の中で。フェイが真っ直ぐに笑ってこれたひとつに。

A・ウィルドの存在があること。

「フェイと出会ってくれてありがとう、A」

微笑む黄名子に、不思議そうなAは横へと首を振り違う、と伝える。
握りしめられた手を優しく、包み返し、目を細める。

“フェイと出会わせてくれて…ありがとう”

息子を想ってくれる、優しい女の子。
A、貴方が居るから、貴方が居れば。
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