ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ39)

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❑ 届く心の声ページ39

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「まだ何も聞けていない！」

神童の言葉に、ワンダバはそんなことはどうでもいい！と更に声を荒らげる。

「いいから早く逃げるんだ」

あまりのワンダバの気迫に、天馬達はキャラバンへと乗り込んだ。
その様子を微笑み、安堵したようにAが見上げていた。

“フェイ”

「…A？」

窓から身を乗り出したフェイは、真っ直ぐにAを見詰める。
広げた両手を祈るように胸元で組むAは、伝える。

“私は皇帝の為に生きているの”

「…いつも君はそればかりだ」

悲しそうに顔をしかめるフェイに、首を横に振り微笑む。

“私に生きる喜びを教えてくれたのはフェイ、貴方だけ”

いつだって笑顔でAの腕を引いて、残酷な未来を照らしてくれた。
例えそれが、失われる未来へ歩む道でも。

“忘れないで、フェイ”

「何を…？」

真っ赤な瞳に、太陽が輝く。
堕ちた月は、眩しい太陽を見上げ、微笑んだ。

“私が惹かれるのはフェイだけ、信じていて”

時空間にキャラバンが入り込む瞬間、フェイに伝わったのは
胸を裂くような痛みにも似た、Aからの好意。

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「…行ってしまったね」

銃を下ろしていたメイアは、むき出しの岩肌に投げ付ける。

「何が恋人よ！何が…っ」
「メイア…」
「その手で愛した人を手にかけさせるだなんて……あんまりよ」

ギリスに肩を抱かれ、悲しみの涙の雨を降らす。

「仕方ないだろう、フェイはフェーダを裏切ったんだ」

そうだったとしても、と唇を噛み締めるメイアは同じように愛する人がいるからこそ、この深い悲しみを感じとるのだろう。

「…いいの。私の命は皇帝が救ってくれた、だから……全ては皇帝の為に」

空を見上げたAは、微笑んでいた。
もう二度と、会えることは無い愛おしい人。

復讐の為に拾った命は、虚ろな心でそこにただ有っただけ。

長い拘束された時間の中で、傷付いた心に寄り添ったのはフェイだけ。

『僕達は同じだよ、だから怖がらなくてもいいんだ。ほら、大丈夫だろ？』

その手に触れ、温もりを感じた日から。

優しい陽だまりに、恋をしてしまった日から。

微笑まれる度に、高鳴る胸が、張り裂けてしまいそうに痛む。

触れた唇に、指で触れ瞳を伏せた。

「君達は二度と巡り会うことは無い。フェイは、君のインタラプトを見付けることは出来ない」

皇帝の言葉に、Aは目を細めた。

“心が求め合う限り……必ず出会える”

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