ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ36)

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❑ 壊れた世界ページ36

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「何かしら…」

メイアが空を見上げる。突然、空間を切りとったように空が開いた。
オーロラをまとい、空に開かれた時空間から1台の車が。

「……あれは、イナズマTMキャラバン」

見上げたAは、その真っ赤な瞳に虹色を映す。
顔を顰めた皇帝が左手を横へと真っ直ぐに伸ばし、声を上げる。

「迎撃体制」

その言葉に、フェーダ全員が身構える。
キャラバンの窓が開き、身を乗り出した少年の姿に皇帝もAも目を丸くした。

「SARUー！！Aー！！」

それは、瓦礫とと共に崩れ落ちた絆のはず。
己の手で踏み躙ったはずの、かつての仲間。

目の前に、戦う意思はない！と手を挙げて真剣な眼差しのフェイを見ては、困惑が隠せないフェーダの仲間達。

皇帝の指示を待ち、構えたままのフェーダにキャラバン内で待機している天馬たちは息を飲む。

「…なるほどね、君が」

鼻で笑ったような皇帝は、手を下ろし「やめだ、全員撤退」と命じる。
ほっとしたようなフェイは、キャラバンへと手を振り合図を送る。

安堵した天馬達も、キャラバンから降りてはラグナロクを制し、終焉を始めたSSC、フェーダ最強の皇帝と対峙する。

それは、皆が知るSARUとは違う覇気を纏い、空気が刺さるよう。

そんな皇帝の隣にいるのは、探し求めるAの姿。

「君と、話がしたいんだ」

フェイの言葉に、皇帝は挑発的に微笑みAの腕を引き寄せる。
されるがままのAは、皇帝の背に寄り添い虚ろな瞳で見詰めていた。

「話？奪われた恋人でも取り返しに？」
「…恋人？」

誰と、誰が？そう聞き返そうとしたフェイに、Aが口を開いた。

「皇帝、違う」
「え？」

鼓膜に届いた声に、フェイも、天馬達も驚き、Aを見詰めた。

「……あぁ、そうだったね。君の恋人は僕だ」
「どういうこと？Aと、SARUが恋人？」

睨み付けるようなフェイに、皇帝は鼻で嘲笑う。

「皇帝、それも違う」

すぐに否定された皇帝は、君ね……と呆れたように浮いたままのAを見上げた。

「私の命は皇帝の物、ただ……それだけ」

虚ろな瞳をしたAに、酷く胸が痛む。
求めていたはずのAなのに、どこがボタンが掛け違ったような違和感。

「ところで、君達だけで何の用？世界はもう、僕達フェーダの物だ」
「話がしたいんだ…僕の、僕達の大切なAの為に」

その言葉に、眉間に皺を寄せる皇帝。

「君の物じゃない」

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