ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ35)

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❑今、終焉へページ35

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「そんな危険な所！尚更フェイ1人では行かせられないよ！」

勢いよく立ち上がった天馬はフェイへと声を上げた。そんな天馬にフェイは首を横へと振る。
その仕草に、神童と剣城は天馬の前へと立ち上がり、フェイを真っ直ぐに見詰めた。

信助も立ち上がっては、フェイの前へとその小さな背を伸ばして真っ直ぐに見る。

「俺達は仲間だ。皆だって、今はAの事を思い出せなくたって……一緒に旅をしたってこと、体が覚えてるんだ！」

鳥の羽ばたく音に、振り返る度に涙が頬を伝ったことを覚えている。
クッションを見つめ、空を見上げ、仲間が1人消えてしまったという喪失感を抱え、誰を思い浮かべることも出来ずに、

ただ、涙が零れる。

「俺達だって、Aを助けたいんだ」

神童の言葉に、空が晴れるようにフェイの瞳に光が溢れた。

「一緒に行こう」
「1人じゃないよ、フェイ」

俯いたフェイは、ありがとうと声を震わせた。

SARUの言っていた心当たり。
それは、Aのインタラプトでは無かった。けれど、フェイへ仲間の元へと導く為のインタラプト。

「さぁ、行こう。未来へ」

笑顔の天馬に手を引かれ、フェイは決意の瞳で頷いた。

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煙が立ち込める青空は、灰色に染まる。
空に浮遊し、真っ白な髪と陶器のような肌に煤を付けたA。

「A、降りておいで」
「皇帝…」

ゆっくりと、皇帝の隣に降り立つAはフェーダと共に空を見上げた。

「…明日からどうするの？皇帝」
「そういう君は？」

問い返されAは、瓦礫の向こうを見詰めた。

「……会いたい」

ぽつりと呟いた言葉に、皇帝は溜息をついた。
その仕草に肩が震えるAは、その足で瓦礫の山から飛び降りる。

走り去り、ギリスやメイア、ナージェやローコ達の元へと駆け寄っていく。

「誰に救われて生きてるのか忘れたの？A」

太陽を背負った皇帝を、眩しそうに目を細めて見上げたA。
悲しそうに顔を伏せ、Aの髪は揺れた。

「A！もういいのよ、ラグナロクは終わった……もう」

あなたは自由よ。

そう言いかけた言葉が、喉に詰まってしまった。
メイアは伸ばした手を下ろし、空に浮かんだAを見上げる。

「皇帝は絶対、皇帝が全て」
「ん、いい子だねA。裏切り者のフェイとは大違いだ」

揺れる髪に触れ、目を細める皇帝にAは瞳を伏せた。

“フェイ…せめてこの命の終わりは貴方のそばに居たかった”

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