ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ32)

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❑祈り、願いページ32

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「コールドスリープ…が、近いか？」

剣城の言葉に、天馬と信助は目を輝かせた。
フェイもその現象が最も近いだろう、と頷く。

そして、この世界軸こそがAが生存していた世界。あの日、消えてしまったAが歩んだ軌跡。

「んんと、これからどうしたらいいの？」

信助の言葉に、神童とフェイは視線を交わし、剣城を見た。
俺を見られても…という表情の剣城から視線を外したフェイは、天馬を見詰めた。

「次のインタラプトを見付ける」
「次…？」
「パラレルワールドが全て1つに集約してしまう前に、Aが消えてしまうインタラプトを見つけるんだ…この世界軸で」

途方もない事だと理解してしまうフェイは、それでも。
不確かな世界を彷徨い続けるよりも、何よりも。繋がる道が見付かっただけでも…。

「ねえねえ、そのAが消えてしまうインタラプトって…絞れないのかな？」

信助の言葉に、フェイは首を傾げる。
闇雲に探すよりも、Aと出会い、旅をした時間から探していけば効率は上がるのでは？と。

「……なあ、フェイ」
「ん？」

信助の言葉に、何か確信を持ったのだろう。
剣城が、フェイを真っ直ぐに見詰めた。

「Aが消えてしまうインタラプトは…ラグナロクで間違いないな？」
「あの状況からしてそうだと思う」
「…もし、ラグナロクが“起きた”事ではなく、そこで“誰が”勝利したかがインタラプトだったら……どうだろう」
「勝者が違った場合…」

そもそも、ラグナロクをSARUが開催した理由。

「…フェーダが勝利していたら……世界は」
「待ってよ！それだとおかしいよっ…！……Aは俺達が勝つ事を応援してたじゃないか…！」

Aは、願っていた。心の底から雷門…時空最強イレブンの勝利を。
フェーダの敗北で自身が消えると知っていたら応援するのだろうか。

“フェイ”

声が、脳に優しく溶けるように。Aの声が聴こえる。

“皇帝…”

「…え？」

淡く柔らかく、揺れたクロノストーン。
フェイの掌から震えるようにゆっくりと宙に舞う。

“…皇帝、”

その声は、天馬にも聴こえた。その場にいる全員に直接聴こえてきた。

まるで、泣いているように震える声は、切なそうに。求めるように名前を呼び続ける。

“たすけて…ｯ”

その言葉に、息を飲んだ。
Aが助けを求めたのが…皇帝であるSARUだったから。

眩い光を放ち、クロノストーンは人の姿を象る。

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