ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ31)

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❑声が聴こえる世界ページ31

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フェイは口元に手を添え、脳内に散らかってしまった情報を整理していく。

その様子を心配そうに見詰める天馬と信助を横目に、剣城は声を押えて神童へと話しかける。

「神童先輩、一つ……確認したいことがあります」
「奇遇だな剣城。俺もだ」

頷きあった2人は、未だ情報の整理が終わらないフェイを見て天馬へと話し掛けた。

「Aはクロノストーンになっているんだよな？」
「え？うん、そこに居るよ」

フェイの膝元に置かれたクロノストーンを指し、剣城へと首を傾げた。

「大介さんも、円堂監督もクロノストーンになっても会話はできた。何故、Aは何も話さないんだ？」
「会話は出来なくとも、Aはいつも浮いていたはず…」

まるで、眠っているように反応がないクロノストーン。
少しだけ背筋が震える天馬は、伏せた瞳のフェイへ申し訳なさそうに話しかけようとし、止まった。

Aがクロノストーンになったことを伝え、天馬へと託したのはSARU。

「…SARUなら！SARUがまだ何か知っているんじゃないかな？！」

その言葉に、フェイが顔を上げた。

SARUは、今目の前にいる天馬がAと出会っている事を確信していた。それはSARU自身がAに天馬への接触を命じたからこそ、確信を持ってフェイを送り出したのだろう。

SARUの言っていた、インタラプトの心当たり。
それは天馬との出会い。今、目の前にいる松風天馬が出会ったA。

「…クロノストーン？」

天馬がSARUから託されたA。
膝に寄り添うようなクロノストーンに目を向けたフェイは、突然、瞳が揺れた。

「声が、聴こえたんだ…！」
「え？」

思い出したように、フェイは天馬を見詰めて嬉しそうにクロノストーンを掌へと包み込んだ。

「SARUと居た時、Aの声は聴こえなかった。でも、天馬と一緒なら…この時間軸なら、Aの声が聴こえたんだ！」

フェイの言葉に、神童と剣城が頷いた。
不思議そうな信助と天馬は目配せをしては首を傾げる。

「…つまり？」

天馬の言葉に、神童が柔らかく微笑み髪を揺らした。

「Aはこの世界に必ず存在する…という事だ」
「え？え？何で？だって、今ここに居ますよね？」

クロノストーンを見詰め、悲しげに眉を下げた天馬。

「おそらく、Aのクロノストーン状態は大介さんや円堂監督とは違う現象じゃないか？」

剣城の言葉に、さらに首を傾げてしまう天馬と信助に、言葉を選ぶ神童と剣城。

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