ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ21)

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❑君へ続く道へページ21

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「フェイ、少しいいかい？」
「いいよって言う前に入ってきてるだろ」

涙を拭うフェイを横目に、許可もなく部屋に踏み入るSARU。
まあね？と壁に凭れかかればSARUはクロノストーンを、ふわりと宙に浮かせてフェイの元へと届けた。

「それはAだよ」
「やっぱり…」

Aの瞳と同じ、甘くて柔らかい赤色。
丁寧に手に包んでは、ぽつりと名前を呼ぶ。降り注ぐように、何度も。

何度も。

「…Aｯ」

反応が無い事が、こんなにも苦しいなんて。
いつだって返事をくれるAがただ、そこに在るだけ。

「めそめそしてないで、Aのインタラプトの検討はついたの？」
「全く分からないんだ」

首を小さく横に振ったフェイに、SARUはそんな事だろうと思った。と肩を竦める。

「一つだけ、心当たりがある」
「……え？」

SARUを見上げれば、可能性は低いんだけど…と腕を組んだSARUは溜め息を着いた。

「雷門……あ、いや。松風天馬に出会った時」
「でも、その時のAはもう居なかった」
「確認したのは雷門イレブンとの試合だろ」
「え？」

やっぱりね、とSARUは小さく笑ってフェイを見下ろした。

「Aの率いるチームなんて存在しない。デュプリを出せる能力もない。なら、なんで僕は君は？Aが試合をしたと思う？」

前提がおかしいんだ。

既に、Aが居ない世界との摩擦が起きて、記憶が混濁している。
だからこそ、フェイは自分が辿った軌跡を間違えてしまった。

「…そうか、僕は元々Aの居ない時間に行ってしまった。だから、あのインタラプトのAには会えたんだ……！」

しかし、戻ってもAに会えないのは変わりないはず。
何度もワンダバと試して、希望を胸に扉を開いたって、その先の時間にAは居なくて。

途中から数えるのも嫌になった。

また、繰り返すんだ。

Aの居ない世界の時間の扉を開き続けて。

この絶望感はフェイにしかわからないだろう。
胸を裂くような痛みに、何度も襲われて。それでも、Aが居るはずだと。

「まずは天馬に会って、確認しないと」
「そうか。2人が出会った日のこと……！」

シュウの言っていた事が正しいなら、Aは天馬が化身アームドを習得をした事象よりも後のはずだ。

「ありがと、SARU！天馬に会ってくる！」
「その前に少し休んで行きなよ、天馬もびっくりするよ」
「あ……そうだね、」

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