ブランクルーン - ﾌｪｲ･ﾙｰﾝ - (ページ19)

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❑RESTART ページ19

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何でもなかったあの日、失いかける記憶の向こう。
確かにあの日、3人は河川敷に居た。そして、Aは1人で帰ってきた。

それは、揺るぎない事実だった。

そして、Aがフェイを止めろ、記憶からAが消えることを前提に話していた本当の理由。

全て、今目の前にいる自分が、過去へ戻りAへ伝えたからだ。

優しいAは、自分を探す途方もない旅をしているフェイを救うために。自らが消えることを受け入れた。
そうして、憔悴しきってしまう未来のフェイを守ろうとした。

だから、SARUへ託したのだろう。

フェイを止めて欲しいと。

唯一繋がったAへの道。用意されていたインタラプト。

それは、絶望を示した。

「どうして……どこで」

どこで間違えたのだろう。フェイの瞳は揺らぎ、再び立ち上がることは出来ないと、膝から崩れ落ちた。

「初めからこうなる運命だったんだ」

SARUの言葉に、見上げたフェイはとうに、枯れ果てた涙を流すことも出来ずに俯いた。

まだ、心の中にAはいるのに。
どこへ向かえばいいのだろう。

「…とりあえず、1度休んで頭でも冷やしなよ」

SARUに声をかけられて、力なく立ち上がり言われたまま自身の部屋へと足を向けていく。

肩を落とし、SARUは深く椅子へと腰をかけては掌のクロノストーンを見詰めた。

「きみ、こうなるってわかってたから止めたんだね」

宙にふわりと浮いたクロノストーンは、小さな声を発した。

「……皇帝」

「は？」

突然の声に、SARUが首を傾げた。

「君が皇帝って呼ぶなんて、初めて会った以来じゃない？」

つん、とクロノストーンをつついたSARUは悲しのに眉を下げた。
感情の変化の見えないクロノストーンはふわりふわりと空を漂う。

それはまるで、Aそのもののようで。

「私は今のSARUがいいよ……」

「きみね、今さっきその口で誰に好きって……」

突然止まっては、重力に従い地面に落ちそうになったクロノストーンへSARUは手を伸ばした。

「どういうこと？」

反応が消えたクロノストーンへ、眉をひそめた。

Aが残した言葉は、必ず何かしらの意味を含んでいた。
ただのうわ言なんかでは無い。

その証拠が、ボロボロになって戻ってきたフェイだ。

「もしかして……インタラプトは」

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