自由な君と。√24 ep.4 【ｲﾅgo】 (ページ13)

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木漏れ日の下。ページ13

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“今日の透也くんです”

そんな言葉と共に、豪炎寺のスマホが小さく揺れる。
メッセージに添えられた1枚の写真は、大きな口を開けて笑う愛おしい息子。

「……変わらないな」
「聖帝」
「わかっている…」

スマホの電源を落とせないのは、何か彼女の身に危険が迫った時。
何も出来ないのは許せないからだろう。

13歳であっても、24歳であっても、彼女という存在の根底は何も変わらず。
成長を見れない寂しさを埋めるようにか、お互いを繋ぎ止めるようにか。
1日に１回程、送られる写真に豪炎寺は頬を緩める。

「……行こうか」
「はい、聖帝」

遥か遠く、孤島は昼下がり。
既に決勝戦は始まっているというのに、Aは木陰で横になっていた。

目を閉じ、膨らんでは縮むお腹の上ですぴすぴと寝息を立てる透也。
そんなAの傍らには鼻歌をうたうシュウ。

試合のホイッスルが鳴り響く。

「…頑張って、天馬」

シュウの言葉にうっすらと開いた瞼の隙間から、Aは木の葉の向こうの空を見詰めた。

「……私はこれからどうなるのかな」
「さぁ、全てはサッカーの神様だけが知ることかもしれないね」
「それってシュウのこと？」
「僕はサッカーの神様なんてもんじゃないよ」

肩をすくめるシュウに、ふぅん、とAは瞳を閉じた。

「…ねぇ、シュウ」
「ん？」

風が優しく2人の髪を撫でていく。

「透也のこと、何があっても守ってくれる？」
「……どうして僕に？」

瞳を閉じたままのAは胸の上で眠る透也の髪を優しく撫でる。
子猫のように柔らかい髪の毛。

「シュウならきっと、この子のこと見守ってくれるって……そんな気がするから」
「それならこの子の母親である君の事も見守らないとならないね」

きょとりとしたAは、ふはっと笑った。
すっかり母親の気分で居たけれど、当たり前のことだ。透也と出会うのはまだ先の未来の話。

「それじゃ、ずっと見守っていてねシュウ」
「…仕方ないな」

眉を下げ笑うシュウに、満足そうにAは頷いた。

「……うん、シュウがそばに居るって思うと心強い」
「傍には居ないけど」

間髪入れずに否定したシュウへ、Aはううん、と瞳を閉じ。

「この島に来てからずっと感じてる…風にシュウの優しさがこもってる。ずっとそばに居るって伝わるよ」
「……君は、」

いや…と、何かを言いかけたシュウは優しくAの瞼を覆うように手のひらを伏せた。

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