自由な君と。√24 ep.3 【ｲﾅgo】 (ページ29)

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お日さま園。ページ29

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日曜日、豪炎寺の運転する車で向かったのはお日さま園。
そこに居たのはかつて…否、Aからしたらつい先日まで共に尊きお父様の望みの為に走り続けた家族達。

「…晴矢」

ぽつりと名前を呼べば気まずそうに南雲が頷いた。
そうして手にしていたサッカーボールを徐に地面へと落としてしまったAは奥歯を噛み締め…。

「燃え…盛れ…！グロリ────────」
「だあぁあ？！？！まてまてまて！！！話をしよう！！話を！！」

南雲とAの間に大慌てで割って入ったのは厚石。

「恨むのは解る。でも、晴矢も俺達も…あの時はああするしかないって本気で思ったんだ」
「…だったら肉を割いても骨を折っても許されると？答えてヒート」
「…っ」

その瞳は正真正銘プロミネンスのA。
忘れていた訳では無かった、けれど遠い記憶の向こうに霞んだ存在だった。

「……南雲、そこまでAの事を」
「わ、悪かったと思ってる…けど、あそこまでやんねぇとあの人は欺けねえと思ったし、八神だって監視してたろ」

頭を乱暴に掻き、溜息をつく。そうして今になって、あの日雷門イレブンとジェネシスとの試合の最後。
お父様の呼ぶあの人が基山ヒロトと八神玲名からのボールを受け止めようとした、その心を理解する。

「解ってるよ…晴矢」
「……はっ？」

豪炎寺の服の裾を掴み、Aは笑ってみせる。

「だって、泣きながら私に全部忘れろって言ったの覚えているし、初めて会った時のことも忘れてない」
「どういう…」
「忘れたの？私にはエイリア石の力は作用しないってお父様がそう言ってたでしょ」

その瞬間、皆の表情が凍りついた。
豪炎寺も思わずAを凝視してしまうほどの事実…。

「どうしたの…？」

不思議そうなAに、南雲は信じられないと言うように震える掌を見詰めた。

「……俺はエイリア石から…父さんからAを守って…」
「私も…Aの事をエイリア石から遠ざけないとって思ってたのに」

プロミネンス全員とAの認識のズレが…そこに。
しかし、目の前にいるのは10年前当事者であるA本人だ。

「……そうか！エイリア石の力が作用せず、練習について来れないAを守ろうとしたのが…何処かで食い違い始めたんじゃ」
「それなら、父さんがAをジェネシスに引き込もうとしたのも辻褄が合うね」

突然納得した緑川と吉良にAは首を傾げてしまった。