桜、咲いたよ。[tk×in]

#13 ページ14

side kei

｢うん、似合ってる。｣

高木は俺の頭から手を離す。
俺はおそるおそる目を開ける。

目の前を舞う、1枚の青い花弁。

｢花びら…青、薔薇？｣

｢うん、やっぱり伊野尾くんは青が似合うな。｣

そっか、自分の頭に乗せられたものは…

｢花かんむり！｣

｢そう、正解。｣

車のサイドミラーに目を移すと、そこに映っているのは青と白の薔薇や花で作られた花かんむりを頭に乗せた俺。

｢目的地までは、あとどれくらい？｣

｢んー、もう少しかな。行ってみたかった場所なんだ。伊野尾くんと行けるとか、最高。｣

フロントガラス越しに見える夕陽は、もうだいぶ傾いる。

どこ、だろ。

行きたい場所って。

｢あ、ほら！見えたよ！｣

見たことないほど嬉しそうな高木が指さす先にあるのは、

｢海…｣

｢そう！ここで見える夕陽、めっちゃ綺麗って有名なんだ！｣

車を降りて、俺の手をぎゅっと握って駆け出す高木。


夕陽は、俺たちを飲みこみそうなほどまぶしい。

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