【WT】片隅の恋物語〔短編集〕

3.事故【ズッ友組】 ページ12

多分kn×Na。

『それは、何かの間違いだと思った。』


前回の続きはまた今度で……。


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Na side

　それは、何かの間違いだと思った。
　それを、何かの間違いだと思っていた。

　だって、おかしいと思わない？


　俺を庇ってきんときがはねられた、何てさ。


..


Na「きんとき何処行く？」

kn「なかむの行きたいとこ」

Na「？」

kn「……取り敢えず本屋辺りに寄ろ」

Na「おけ」

　今日は、きんときとデートの日だった。
　正直今すぐ鼻唄歌って小躍りしそうなくらいなんだけど、きんときと手を繋いでるから流石に控えた。
　しかも恋人繋ぎなんだよね、良いでしょ。
　らんらんるー。
　あれ、これは違ったっけ？

　だからやらかし上手のNakamuさんも今日はおやすみ。
　かまってほしいのはまぁ勿論なんだけど、それで気を遣われるのはなんか違うっていうか……。
　ほらきんとき優しいから、もし何かあったら絶対に気にするというか。
　いや俺も気にするけどさ。
　折角のデートなんだから、そんなの気にせずに遊びたいんだよね。

　本屋は道路を挟んで向かい側。
　横断歩道までは軽く喋りながらきんときと歩いていく。
　ちゃんと信号も青になった事を確認して。
　道路に足を踏み出した。





　………………で、その後の事をよく覚えてない。

　気が付いたら。

　俺の服が少し汚れてて。

　トラックが1台そこに止まってて。

　きんときが、そこで倒れてた。

　ほんの少し俺にも衝撃があったから、きんときに押されたって事はすぐにわかった。

　すぐに救急車とパトカーが来て。

　軽く事情聴取されて。

　救急車に乗せられたきんときを見送った。



　何もわからなかった。

　何が起きたのかはわかった。

　何が起きているのかはわかった。

　"何で"起きたのかが、よくわからなかった。


　………………。

　わからないはずがないのにね。

　何でわからないんだろうね。

　さぁ？

　俺にもわかんない。

　全くわかんないや。

　あ、別に、教えてくれなくてもいいよ。




　＿＿＿だからお願い。

　もう、何も、言わないでよ。

　俺の前で、何かを言わないでよ。

　口に、しないでよ。


..


　真っ青な海が窓から見える。
　その青は、きんときの目の色と何処か似ている気がして。
　……開かない、きんときの目と同じに見えて。

　ただ、意識が戻らないだけだって。
　異常は何もないって。

　聞こうとしないのは俺だけど。

　それ、ほんと？


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