偶然には愛を (ページ24)

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23. ページ24

いつから好きなんだっけ

もう忘れたな

気づけばもう夢中だった

教壇に立つ先生も、ガチャっと開いた扉からおはようって挨拶してくる隣人も

どの生活の場面にも彼がいる

好きにならない方が無理

｢やっとこっち見た｣

『せんせ、』

｢立場上、これ以上はどうする事もできないけど
これだけは言わせてね｣

先生は1つ深呼吸した

｢来年も夏祭り行こうね｣

『へ…』

初めは小笠原の言った意味が分からなかった

すっとぼけた顔をしているであろう私に小笠原は

｢夏目漱石は"I love you"を"月が綺麗ですね"って訳したでしょ？
俺なら、どう訳すかなーって｣

『…え!!』

まるで雑談するかのようにそう言い放った

つまり、私の思い違いでなければ

先生は私を好きって事だ

…

いや待って、ちょっと待って

私今告白されたの？待って分かんない

｢今思ってる事絶対言わないでね
卒業までの宿題にするから
答えはその時に教えて｣

『え、ちょ、先生』

｢よし、もう遅いし帰るか！｣

…え、えぇ？

いやタイミング！！！

いい所で終わるドラマか！！！

｢夏休みだからって勉強サボっちゃダメだぞ〜｣

未だ処理しきれてない私の事なんかつゆ知らず、小笠原は来た道を引き返していく

背中がどんどん遠くなる

私は目眩がしてくる

『…はっ！行かねば』

倒れそうになった所で突然目が醒め、小笠原を追いかけた

私がいくら話しかけても、学校での小笠原海だった

最早、私の夢だったんじゃないかってぐらい普通

それとも私の順応速度が遅いだけ？

｢じゃあ、おやすみ
また新学期ね｣

『は、はい』

あっという間にアパートに着いてしまった

お互いの扉前まで行くと、会話すらなくなる

そのままの流れで解散か

｢あ、そうだ｣

『？』

何かを思い出したのか、家に入りかけた身体を戻した小笠原

そして私の方を向く

｢今日、本当に楽しかった
Aさんと行けて良かった
途中はぐれたのはマジで焦ったけど、色んな事できたし嬉しかった
誘ってくれてありがとう
じゃ、おやすみなさい｣

『おやすみ、なさい…』

ガチャん

…マジかー！

告白まがいな事されて、挙句の果てには楽しかった、良かった、嬉しかった、ありがとう…

益々好きが積もっていく

今日はきっと眠れない

次起きたら、これは夢だって思っちゃうから

先生、これって期待してもいいですよね？

*