第2期 第2話「疾風の旦那」 ページ44
どれくらい歩いただろうか… はっきり言って、四獣はこれ以上歩みを進めることができなかった。特に、雄牛。いくら人間に復讐するため仕方のない戦いだったと雖も、旧友との戦いは心にくるものがあった。それは三獣も察していた。それでも誰も愚痴をこぼさず休憩もとらず歩みを止めないのは、やはり疲労以上に人間に対する憎悪が優っていたからであろう。
カラス「着いたぞ。ここが俺らのアジトだ。」
四獣は眼を見開き驚いた。「すごい…」思わず雄牛が口に出した。三獣も共感した。「すごい。」冥利この一言に尽きる。木の上に等間隔に並んだカラスの巣には、仕切りなどはないものの、自分の家、食料、子どもを守るよう各々が技巧を凝らしているのが見てとれた。また他の動物に見つかりアジトが全滅させられることのないように、おそらく人間界から持ってきたのであろう様々なものでつくられた罠がしかけられていた。案内に歩く場所を指示されながらではないと歩けない。一寸の気の緩みが命取りとなる。そんなレベルの罠がいくつも仕掛けられていた。さすが頭が良いと動物界で慕われているだけある。案内のカラスに促され広場とよばれる杉の木を見ると、根幹に大きなイノシシが横たえられ、たくさんのカラスが群れていた。どうやらカラスの中の若いオス達が日々6、7匹ほどで群れを成し獲物を見つけ、アジトへと運んでいるとのこと。ほとんどのカラスの食料は各自で見つけてきた獲物のほか、こうしてアジトへと運んでこられた食料が主らしい。このシステムのおかげで餓死する者も減り、子孫を残していけるとのこと。身を以て実感したカラスの頭の良さに四獣はただ脱帽するしかなかった。
案内のカラスにアジトのしくみを聞くうちに族長の住処へときた。いたって普通の家である。他のカラスと大差ない。ただ一つ、雄牛からすると明らかに違うところがあった。匂いである。甘いような匂いが族長の家から漂う。嗅げば嗅ぐほど意識が飛びそうな匂いだ。他の三獣はこの匂いをどう思っているのだろうか…
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不登校の自殺志願者 - コメ欄から来ちゃいました!!いやぁー凄いですよね。めちゃくちゃ続いてる。私が見た時は500コメ超えてました。 (2019年5月15日 11時) (レス) id: fed8378344 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コメ欄の作者達 | 作成日時:2017年8月17日 22時